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Sandfish Records Diary

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雨上がりの朝に

 僕が寝ている間に、台風はかすめていき、今は素晴らしい青空が広がっている。濡れた路面がきらきらと光っている。目に映るすべてが明るくまぶしい。そんな朝に、含蓄だらけのスティーヴ・アールの『Washington Square Serenade』を聴く。

 昨日は、鎌倉小川軒にてラジオの打ち合わせがあった。おおまかな雛形を話し合い、後日僕が具体的な流れを作って、メールでみんなに送るということになった。こうして人と仕事の話をすると、自分がいかに音楽業界のシステムに不信感をもっているかに気づいて、驚かされる。そして、あまりにひとりで仕事をしている時間が長いために、自分の考えを人に正しく伝えることが難しくなっていることにも。なにかを口にするたびに、僕は「今のは少し傲慢だったかな」と思うことになった。集まった面々が、みんなすっきりとしていて、芯をもった話し方をしたので、それは尚更だった。もっと日頃から気持ちを吐き出す機会があればいいのかもしれないなと思ったりした。

 それでも、話し合いはとても有意義なものだった。月1回/5分のコーナーとはいえ、サンドフィッシュ・レコードのための時間が割かれることに、僕は興奮していたし、その短い時間の中で、できるだけのことをしたいと強く思った。最初からは難しいかもしれないけど、少しづつ上達していけたらいいなと思う。

 その後は、友人である池田くんがやっているカフェ「rakaposi」に寄り、男3人でケーキを食べながら、お互いの好きな音楽などについて話した。僕らはそれぞれに違う音楽体験をしていたけれど、深いところでは繋がっているような気がした。純粋で楽しい時間だった。

 帰宅してから、すぐにコーナーの具体的な流れ作りをしようとしたが、うまく自分の言いたいことを伝えられなかった現実に、僕は少し気落ちしていた。ベッドに寝転がったら、思った以上に疲れていることに気がついたが、体が疲れているのか心が疲れているのかは、自分でもよくわからなかった。このままだと寝てしまうと思ったので、起き上がり、読みかけだったエリック・クラプトンの自伝を手にとった。僕はあっという間に引き込まれ、最後まで一気に読み切った。エリックが僕の人格に深く入り込んでいることを確認できたことは、僕にとって、素晴らしいことだった。

 例えば、僕は『Back Home』というアルバムが大好きなのだが、この幸福感に溢れた作品を、エリック・クラプトンにさほど思い入れのない人に聴かせても、果たして気に入ってくれるかどうか、僕には自信がない。また、そういう人がこの自伝を読んでも、僕と同じような感情や感銘を受けるとは、正直なところ、あまり思えない。でも、僕にはこれがどれだけ素敵なアルバムなのかわかっているし、自伝に綴られた純粋で朴訥な言葉を、とても身近に感じることができる。それは、長い時間をかけてひとりのアーティスト聴きつづけてきたことの証しみたいなものだ。僕は、エリックの音楽を通して、彼の存在そのものを知ろうとしていた。今になってみると、そのことがよくわかる。

 スティーヴ・アールが終わり、今はJ.J.ケールとエリック・クラプトンのアルバムをかけている。乾いた音が今日の青空に溶けていく。濡れた路面がきらきらと輝いて、目に映るすべてが明るくまぶしい。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2009-10-27 09:20 | diary | Comments(0)
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