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Sandfish Records Diary

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Little Lulu

 朝風呂いっちょあがりー。目が覚めたら窓がびっしり結露してるような朝には、あったかい湯舟につかるのがなによりかと。で、ほっとひと息ついてから、ビル・エヴァンス・トリオの演奏を聴くとか。例えば“Little Lulu”とか。そんな愛らしい曲とか。

 僕が“Little Lulu”を初めて聴いたのは、埼玉県の新所沢にある「スワン」というジャズ・バーだった。まだジャズを聴きはじめたばかりの頃のことで、僕は27歳だった。12月の寒い夜、ふらりと店のドアを開けたとき、確かコルトレーンが流れていたんだと思う。で、僕はカナディアン・クラブをロックで注文したんだと思う。えっと、多分。

 カウンターの中には若い女の子がいた。日本人的というよりは欧米人的な明るさをもった子で、僕より少し歳下か、同じくらいか、おそらくマスターの娘さんなんだろうなぁと思った。その子が「今夜はこれを聴くの」と言ってかけたのが、ビル・エヴァンス・トリオの『Trio 64』だった。“Little Lulu”の愛らしいメロディが、一番最初に、当たり前のように、聴こえてきた。そして数曲後には、“Santa Claus Is Coming to Town”の軽快な演奏が、やはり当たり前のように、流れてきた。もうすぐクリスマスなんだなと思ったりした。

 それから1年くらいの間、1ヶ月に1回くらいのペースで、僕は「スワン」へジャズを聴きにでかけた。カウンターに座り、誰と話すでもなく、ウイスキーをちびちびと飲みながら、黙ってジャズのレコードを聴いたり、ジャズの本を読んだりしていた。そして、名前で呼ばれることにようやく慣れた頃、僕は埼玉県から江ノ島の近くに引越して来た。それ以来、「スワン」には行っていない。

 昨日はとても寒い1日だった。今朝の空気もひんやりと冷たかった。だから、なんとなく『Trio 64』を聴きたくなったのかもしれない。小さな想い出が(過ぎ去った時間が)、音楽によって温められるのを感じたくなったのかもしれない。朝の光に、 “Little Lulu”の愛らしさは、とてもよく似合っていると思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2009-11-20 09:00 | diary | Comments(0)
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