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Sandfish Records Diary

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9年振りのボブ・ディラン

 素敵な夜だった。9年振りとなるボブ・ディランの来日公演。気持ちがいっぱいいっぱいなもんで、うまく言葉にすることはできないのだけど、観に行ってよかった。ほんとに。

 ずっと旅をつづけているディランとバンド。これにチャーリー・セクストンが久しぶりに加わった今回の布陣。細かいニュアンスを伝えるディランのヴォーカルに応えるような阿吽の演奏。その中で、チャーリーの立ち位置だけが、他のメンバーと違っていた。きっと求められていることも違うのだろう。ボブ・ディラン&ヒズ・バンド・フィーチャリング・チャーリー・セクストン。そんな感じだった。ステージの真ん中でディランと対峙しながらギターを弾くチャーリーには華があった。でも、サウンドを支えていたのは彼ではなく、他のバンド・メンバー達だった。

 9年という歳月は、たくさんのものを変えていた。ディランはあまりギターを弾かなくなり、キーボードをシンプルに弾きながら歌うようになっていた。何度か楽器を持たずにステージの中央に立ち、身ぶり手ぶりを交えながら歌った。だいぶ恰幅がよくなっていて、その姿はどこか往年の名優を思わせた。それでも、ディランはやはりディランだ。この夜だけのために、演奏や曲の表情に合わせて歌い方を選んでいた。そこには自由な風が吹いていたし、送り込まれた新鮮な空気が、音楽全体を支配していた。バンドがそれに応え、打ち寄せる波となって、僕らの心に届くのだ。

 ディランのライヴに行くと、バンドというのが、本来どういうものなのかがよくわかると思う。バンドは生き物だ。バンドが深みを帯びれば、語られる言葉もまた深いものになる。細かいニュアンスを表現することができるようになる。生き抜いてきたディランの言葉を伝えるには、それくらいのバンドじゃないと務まらない。

 いい歌をたくさん聴けた。美しいアレンジの“Mr.Tambourine Man”から、高揚感に満ちた“Summer Days”まで。体の芯がジンとしびれるようだった。来週の日曜日には、きっとまた違う歌を聴かせてくれることだろう。そのことを思うと幸せな気持ちになれる。あともう少しお楽しみはつづくのだ。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-03-22 13:59 | diary | Comments(4)
Commented by jerry at 2010-03-23 02:13 x
Tryin' To Get To Heaven と Not Dark Yet が聴けたんですね~。
あ~、羨ましいです~。 『Time Out Of Mind』 も大好きなアルバムなんです。

MIYAIさんのレヴュー、凄く伝わりました。 感動を分けていただきました。ありがとうございます!

今、『Highway 61』 を聴いています。 高校生の頃、中古屋で手に入れたアナログです。
今回の公演でも、主役扱い的な選曲ですね。 やはり、言うまでも無く超!名盤です。
Commented by sandfish2007 at 2010-03-23 09:28
◇jerryさん
この2曲をいっぺんに聴けるとは思わなかったので、僕もびっくりでした。『Time Out Of Mind』でもとりわけ好きな曲だったりします。

こちらこそ読んでいただきありがとうござます。そう言ってもらえると嬉しいです。

今回は近年の曲をたくさんやるという噂を耳にしていたのですが、結果的にはバランスの良いセットリストでしたね。

MIYAI
Commented by torami at 2010-03-24 12:34 x
MIYAIさんの素敵な文章があのライブの素晴らしさをまた思い出させてくれます。
伝説を観に行ったつもりでしたが、それは間違いでした。
ボブ・ディランは未だ転がり続けていました。
バンドの人たちも「ブラボー」でした。もしもまた来てくれるなら必ず観に行きます。
Commented by sandfish2007 at 2010-03-24 17:35
◇toramiさん
こんにちは。素晴らしいライヴでしたね。会場ではお会いできず残念でした。ディランくらいブレることなく、我が道を歩みつづけている人って、そういないと思います。心から尊敬してまする。

いいバンドでしたねー。寝食を共にする仲間が、力を合わせて音楽に深みを与えていく姿は、とても感動的です。もしまた来てくれたら、僕ももちろん足を運びます。

MIYAI
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