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Sandfish Records Diary

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5月の風

ファンファーレが聞こえる。
ホーンやギターの音。歌声や笑い声。
たくさんの人達が、列を作って歩いてくるのが聞こえる。
それぞれにそれぞれの服を着て、それぞれの言葉で話してる。
あんまり楽しそうだったから、僕もその列に加わった。
爽やかな初夏の風が吹いていて、
少し汗ばんだ僕のわきの下あたりで、
それは、小さな渦をまいたような気がした。

そんな、本当とも嘘ともつかないような、
まぁ、嘘なんだけど、
でも、そんなカラフルな心象風景が、
1枚のフィルターを通したくらいのリアリティをもって、
毎年この季節なると、僕の胸を去来するのだ。

海も川も、5月の水はまだ冷たい。
でも、太陽だけはしっかりとした温度をもって降り注ぎ、
僕らに活力を与えてくれる。
命が光に包まれていくのだ。
そして、どこからともなく、
音楽が聴こえてくるのだ。

ビッグ・バンドのレコードに針をおろせば、
賑やかなサンバのリズムが躍動する。
ラメの入ったゴージャスなジャケットを着た
ちょっと感じの悪い、でもいい耳をしたバンマスがいて、
メンバーは、そんな彼の動きを見逃さないようにしている。
まるであちこちでお見合いでもしてるみたいに、
たくさんのアイコンタクトが交される。
本気で耳をすませば、
そこで、たくさんの心が通い合っていることが、
手に取るようにわかるのだ。

カントリー・ロックのレコードに針をおろせば、
軽快なバンジョーと、
飛び立つようなペダルスティールの音が聴こえてくる。
重たいコートを脱いだばかりの普段着の男達と、
長い髪を束ねた陽気なロングスカートの女が数名、
一緒にバンドをやってる。
酒を飲みながら、持ち寄った料理に手なんか出したりして、
笑ってる。
窓の外からは、ラジオの音が聴こえ、
そのもっと向こうでは、
ファンファーレと、たくさんの人達の足音が聞こえてくるのだ。

もし時間があるなら、
その音が鳴っている方へ行ってみよう。
もし時間がないのなら、
少しだけこの高ぶった気持ちを、5月の風に乗せて、
届けよう。
がっかりなんてすることはない。
だって、来年もまたファンファーレは、
今年と同じように、
聞こえてくるに違いないのだから。
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by sandfish2007 | 2010-05-10 08:48 | diary | Comments(0)
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