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Sandfish Records Diary

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あの夏の日のように

 午前3時頃、寝苦しくて目を覚ました。月を見ようと窓を開けたら、外の空気が部屋とほぼ同じに感じられた。なんとなく外で寝てみたくなって、ボディ・ボードを横にしてベランダで横たわった。昔、自転車で日本中を旅していた頃、公民館の軒下や駅のホームなどで、テントも貼らずに寝こけていた夏の夜を思い出した。あの自由な感じがなんとも言えず好きだった。 

 HMV渋谷が閉店をして、いろんな人から連絡をもらった。サンドフィッシュ・レコードのコーナー展開をしてくれたり、新譜ごとにディスプレイをつけて大きく扱ってくれたりと、とてもよくしてもらったお店だ。今月のはじめに足を運び、お世話になった人達に挨拶をした。今度のニューリリースの音を渡したら、その場で聴いてくれて、「今回もいいですね」と言ってくれた。

 エリカ・ギンペルが、またアマゾンで売り切れた。数日後には購入できるようになるはずだが、アマゾンも細かいところまで手がまわらないのか、なかなかすぐには対応してくれない。HMVに関しては、渋谷店にだけ置いてもらった。これまでの経験で、他の店舗にはもう売る力はないと、残念ながら僕の方で判断したからだった。特にエリカは返品を取らないと決めたので、こうなるとHMVに限らず、店舗はほぼ取り扱おうとしない。例えばたった5枚でも、売り切る自信がないのだ。渋谷店に挨拶に言った際、他の店舗でうちの音楽を押してくれそうなところはあるかと訊ねたところ、「いやぁ、もう駄目だと思います」という答えが返ってきた。ネガティヴに思われるかもしれないが、そのスタッフさんも僕も、ずっとその言葉の意味を肌身で感じてきたから、真実として受け止めるしかなかった。

 エリカの売上げの多くは、アマゾン等の通販や手売りによるものだ。店舗の売上げは全体の半分にも満たない。取扱い店舗を絞り込んだとはいえ、久しぶりに新譜を出してみて、この結果には少なからず考えさせられた。そして、先日、HMV渋谷が閉店した。音楽業界で仕事するようになってから、僕はずっと店舗と共に歩んできた。まだ誰も知らないような音楽を、お店のスタッフと力を合わせて発信してきた。そこには人としての繋がりがあり、音楽が結ぶ絆があった。そうしたネットワークの大半が、今では失われてしまっている。

 それでも、音楽はつづいていく。必ず。古いシステムは崩壊し、新しい流れが生まれる。そこにはいつだって自由の風が吹いている。あとは自分の好きな居場所を見つければいい。かつて自転車で日本を旅をしながら、公民館の軒下や駅のホームなどで寝こけていた、あの夏の日のように。だから、僕はなにも心配なんかしていない。自分を信じ、仲間を信じ、音楽を信じて、やっていくだけだ。

 「ポジティヴなエネルギーを外へ出していくこと。自分の持っているポジティヴなエネルギーを活かせる仕事をすること。そこに自由はある」by ジェリー・ガルシア

 ロック・オン。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-08-25 08:53 | diary | Comments(2)
Commented by torami at 2010-08-25 20:59 x
勇気づけられるお言葉ありがとうございます。
そうですよね、ロック・オン!
Commented by sandfish2007 at 2010-08-26 08:24
◇toramiさん
いえいえ。お互いがんばっていきましょう。ロック・オン!

MIYAI
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