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Sandfish Records Diary

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Darkness on the Edge of Town

 えっと、今さら言うのもなんですが、僕はブルース・スプリングスティーンが大好きだったりする。

 スプリングスティーンを好きなところは、まぁいろいろあるのだけど、そのうちのひとつに「強い野心をもっているのだけど、野心に流されない」というのがある。

 ファースト・アルバムが当時2,000枚しか売れなくて周囲ががっかりしてる中、「俺のアルバムを2,000人もの人が買ってくれたのか!」と感動してた男が、『Born to Run』で想像もしてなかった騒ぎに巻き込まれるわけだけど、そのときのことをスプリングスティーンは、かつてこんな風に話していた(僕の記憶による捏造あり)。

 「(『Born to Run』にかけて)走りつづけなきゃって思ってたんだ。それが生きる意味なんだって思ってた。でも、町を飛び出して、ずっと走ってって、ふと周囲を見回すと、誰もいないんだよ。知り合いなんてひとりもいない。こんなの…なにも面白くない。自分が必要としてるのは、昔からの仲間や古くからの知り合いとの繋がりなんだって気がついたんだ。『闇に吠える街』はそうした気持ちを見直したアルバムなんだ」

 僕は高校生だったけど、すごく共感した。で、今の自分があるのかもしれない…と思う。

 再来月かなんかに『闇に吠える街』のボックスセットが発売される。リマスターされてライヴ映像やらアウトテイクスやらが付いて。その関連で、先日スプリングスティーンがトロントの映画祭に顔を出した。スプリングスティーンの大ファンだというエドワード・ノートンが、緊張のあまりしどろもどろなインタビューをしたなんて話はネットで知ってたんだけど、その中で、スプリングスティーンはこんなことを言ったんだそうな。

 「この作品は、(『Born to Run』での成功を受けて)自分を見失ってしまう前に、自分のアイデンティティを確立しようとした、自分が誰なのかを見つけ出そうとしたアルバムだった。そこでこの作品では、「自分」と絶対に切り離せないものと向き合っている。失ってしまったら、自分が狂ってしまうものと向き合った。それが、自分の故郷であり、両親の生活について語るということだった。この作品から、自分にとって誰が大事で、誰について語っていくのか、ということが明確になり、ここからオーディエンスとの対話が始まったと思う」

 あのときと同じことを言ってるんだ、と僕は思った。別に疑ってなんかいなかったけど、本当だったんだなぁって。それが嬉しかった。

 成功してこれまでとは違うステージへ歩を進めるのは当然のことだと思う。でも、それに流されまいとする人もいる。もし、万が一、自分がなんかの間違いで成功を手にしても、僕もそういう人でありたい。それが結果として、たくさんの可能性を放棄する行為だとしても構わない。そうしたことは、つづけていればいつかまた巡ってくるかもしれない。でも、人との繋がりはそういうもんじゃないと思う。

 もし僕に会いたかったら
 見つけるのは容易いと伝えてくれ
 エイブラハム橋のたもとに
 ちょうどいい場所があると伝えてくれ
 そして、町はずれに暗闇があると伝えてほしい
 
 Darkness on the Edge of Town。僕も町はずれの暗闇で元気にやっている。そんなつもりでやっている。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-09-17 08:35 | diary | Comments(0)
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