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Sandfish Records Diary

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1Q84

 3日つづいたアルバイトが終わって、「あぁ、お酒が呑みたいなぁ」と思った日曜日の夜。お財布を見たら…、あららん。まっすぐ家に帰ることにしたのだった。現在、僕は週4日のアルバイト代で生活してて、レーベルの売上げ(まぁ、ささやかなもんだけど)は今後のために全額プールしている。そのため、なかなか愉快なレベルでの貧乏生活を送ってるんだけど、これはこれで悪くない。いつもなにかを工夫してるし、小さなことに喜びと感謝を感じている。なにより、シンプルなのがいい。必要ないことに惑わされずに済む。これはいいことだと思う。

 昨夜は、部屋でカントリー・ロックのレコードをかけて、焼酎をロックで呑んだ。テレビをちょっとだけ見て、メールのチェックをして、そのいくつかに返信をした。それから、かなり牛歩的に読みすすめていた村上春樹の『1Q84 Book 3』を読み終えた。慌ただしさの中で随分時間がかかったけど、とても楽しく読むことができた。僕はこの3巻目が1番面白かった。特に終盤はどきどきしながらページをめくった。村上春樹の文章は、年齢を重ねて深みを増し、スケールが大きくなっていた。また、それに相応しい重みを獲得していた。同時にその代償として、春の息吹のように新鮮だった「あの空気」は失われていた。きっとこうした変化は、村上春樹が作家として前進していく上で必要なことだったのだろうと、僕は思う。作家であれミュージシャンであれ、表現者が様々な紆余曲折を経て、ある地点から別の地点へと進んでいく過程を知ることは、とても興味深い。

 初めて村上春樹の小説を読んだとき、僕はスプリングスティーンの音楽を聴いたときと似た感覚を覚えた。それはこの新作を読んでも変わらない。だから、『意味がなければスイングはない』の中で、彼がスプリングスティーンに関するエッセイを書いていたのは、納得のいくことだった。村上春樹は、この同年齢のロックン・ロール・シンガーに対して、つい密かな連帯感を抱いてしまうと言って、このエッセイを締めている。その部分をちょいと抜粋。

 「僕が1970年前後、東京でなんとか生き残るための努力をしていた頃、ブルース・スプリングスティーンもやはり同じように、アズベリーパークの町で悪戦苦闘していたのだ。それから30年以上の歳月を経て、我々はそれぞれにずいぶん遠い場所にまで歩を運んできた。うまくいったこともあるし、うまくいかないこともあった。そしてこれからも生き残るために、それぞれの場所で、それぞれの闘いをつづけていかなくてはならないはずだ」。

 僕の中には、定住への欲求と彷徨う魂が共存している。このふたつの要素は、いろんな場面で僕の人生を左右してきたし、これからも影響を与えるだろう。僕としては、それを僕なりにコントロールしていくしかないのだと思う。そして、いつか自分が辿り着くべき場所へ辿り着けたらいいなと思っている。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-10-04 09:26 | diary | Comments(0)
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