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Sandfish Records Diary

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A Slow Drag with Josephine

 よく晴れた桃の節句。僕にはほとほと関係のない行事だけど、晴れてくれたのは嬉しい。ずっと雨がつづいてたから。

 エルヴィス・コステロのライヴは、とても楽しかった。あれが100%のコステロだとは思わないが、それでも2時間弱のたったひとりのステージを、まったくだれることなく魅せてしまう。ヴォーカルの細やかなニュアンスだけで、僕は何度も胸をぐっと掴まれた。特に“A Slow Drag with Josephine”での、マイクを通さない歌声と軽やかなギターには惹き込まれた。これまでノーマイクでのパフォーマンスというと、大きな声で歌い上げることが多く、声量自慢にも感じられて僕はあまり好きではなかったのだが、今回の軽やかさはまったく違っていた。ステージを歩きながらギターを弾き語るコステロには、どこか古い映画にも出てきそうな風情があった。やさぐれた男が時間を経て大人になり、たくさんの経験が余裕と重みを生み出していた。エルヴィス・コステロというアーティストの、底知れぬ懐の深さが静かに伝わってきた瞬間だった。

 ライヴ自体はもっと良くなる余地はあったと思う。でも、これくらいがちょうどいいのだとも感じている。かっちりと進むべき場所へ進んで行くのではなく、どこかズレたところにいるのが、エルヴィス・コステロなのだという気が、(これまでの彼のキャリアを振り返ってみると)なんとなくしてしまうのだろう。「まだなんかあるでしょ。もっとやれるでしょ」と思わせてくれるくらいが、ちょうどいいのだ。

 終演後、この日のライヴに誘ってくれた友人が、魚の美味しい店に連れてってくれた。僕らは燗酒をこんこんと飲みながら、いろんな話をした。そして、もう少し飲みたいくらいのところで店を出た。外ではまだ雨が降っていた。細かい粒の雨だった。たくさんの人達が傘をさして歩いていた。

 あれから部屋ではずっとコステロを聴いている。まだライヴの余韻がじんわりと胸に残っているのだ。きっと、そんなライヴだったのだろう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-03-03 11:08 | diary | Comments(2)
Commented by ayako at 2011-03-09 01:33 x
はじめまして、エルヴィス・コステロのファンBlogをやっております、ayakoと申します。ライブ評を読ませていただき、素晴らしかったのでブログにリンクを貼らせていただきました。事後報告ですみません。もしも問題がありましたらお知らせください。
Commented by sandfish2007 at 2011-03-10 10:24
◇ayakoさん
はじめました。ブログ拝見いたしました。コステロ愛に溢れた素晴らしい内容ですねー。これからもちょくちょく覗かせていただきます。リンクの件、了解です。全然問題ないです。どうもありがとうございます。

MIYAI
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