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Sandfish Records Diary

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1枚の重み

 素晴らしい青空。なんて気持ちいいんだ。窓を全開にする。いいね。コーヒーを飲む。美味いね。ポール・マッカートニーの歌を聴く。幸せだね。後で海へ行ってこよう。新しい音が届いたから聴こう。夜はリクオ&ウリョンのライヴ。楽しみだ。

 先日、テレビをつけたら、ミリオン・セラーとなった曲の売上げベスト30というのをやっていた。さすがに全部知ってたし、そのほとんどは僕が音楽業界で仕事を始めた数年間にヒットした曲だった。思えばバブルがはじけた後も、CDバブルは7〜8年ほどつづいた。平積みにしたCDが飛ぶように売れていくのは、あれはあれで面白かった。その後、僕はとある洋楽インディーズ・レーベルで働くのだけど、最初は売れる枚数の少なさにびっくりした。当時、洋楽インディーズは1,000枚売れればヒット。5,000枚売れたら大ヒット。10,000枚売れたら奇跡と言われていた(今じゃ1,000枚売れたら大ヒットと言われかねない)。それまではミリオン・セラーが珍しくない世界にいたので、メジャーとインディーズの違いに(あるいはJ-POPと洋楽の違いに)驚かされた。まぁ、取り扱っていたのがルーツ・ミュージックやジャム・バンドという、ある意味では地味なジャンルだったから、特にそうだったというのもあるけれど。あの頃、僕らは1,000枚売ることを目標にたくさんのことを考え、細かい作業をせっせとこなした。大きな広がりは期待できなかったけど、地道で正直だったと思う。あれはあれで悪くなかった。

 今のこのご時勢に自分でインディーズ・レーベルをやっていると、CDを1枚売るのがどんだけ大変かがよくわかる。もし1,000枚なんて売れたら、僕はあまりの嬉しさにブリッジをしながら笑顔で町内1周しかねない。かつてアーニー・ディフランコが(注:素晴らしい女性シンガー・ソングライター。彼女も自分のレーベルをもっている)、「メジャーだと20万枚売れたくらいじゃ喜ばないけど、あたしたちは1万枚売れたらみんなで大喜びするわ。そういうところが好きなの」と言っていた。その通り。1枚の重みが違うのだ。

 レーベルが大変ということは、ミュージシャンもしんどいということだ。各地をライヴしてまわり、CDを手売りする。集客に苦労する。焦燥がついてまわる。それでもつづけるのは、音楽にときめきを感じているからだ。そのリアリティーは、CDが飛ぶように売れていたあの時代よりもずっと大きい。

 思うに、僕は体質的にこじんまりとしているのだろう。自分の与り知らないところで事が大きくなっていくことに、居心地の悪さを感じる。そうしたことが大事ななにかを損なわせることを、経験的に知っているからでもある。なにかを得ることで、それを失いたくないのだ。だから、こんな風にインディーズをやってるのが、僕にはちょうどいいのかもしれない。…ほんとにこじんまりしてるな。いいのかな。うーん。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-05-08 09:38 | diary | Comments(0)
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