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Sandfish Records Diary

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なんとなくノスタルジー

 明るい気分でいきたいとき、よく聴く2枚のレコードがある。デイヴ・リー・ロスの『Crazy from the Heat』とハニー・ドリッパーズの『Volume One』。どちらも僕が高校生になった年にヒットしたレコードで、1950〜1960年代のヒット曲をカヴァーしたミニ・アルバムである。15歳のときにこういうレコードを聴いて心をときめかせていたのだから、元々僕は古い音楽が好きなのだろう。夢みるような“California Girls”のイントロも、甘酸っぱい“Sea of Love”のメロディも、この2枚のレコードで知った。

 デイヴ・リー・ロスはヴァン・ヘイレンのヴォーカリストだったし(まだ脱退してなかったと思う)、ハニー・ドリッパーズは元レッド・ツェッペリンのロバート・プラントやジミー・ペイジ、それにジェフ・ベックなんかが参加する覆面バンドだった。2枚とも本業から離れての企画ものといった印象だが、その分リラックスした歌を聴けるのが魅力で、僕はそんなところにも惹かれた。

 あの頃はとにかく音楽に夢中だった。ロックとは価値観であり、生きる指針になるものだと信じていた。だから、楽しむだけじゃなく、真剣でもあった。人格が音を立てて形成されていた年頃で、想像の中では、僕はロック・スターにもなれたし、ジャーナリストにもなれたし、ボヘミアンにも、ヒッピーにも、旅人にもなれた。振り幅は大きく、気分は毎日アップしてはダウンし、またアップした。楽しいときもつまらないときも、音楽を聴いていた。聴けないときは自分で口ずさんだ。寝るときもなにか流していた。音楽のことを考えない日は1日もなかった(それは今も変わらないけど)。もしかしたらこれからすごいことが起こるかもしれない。音楽が世界を変えてしまうような瞬間に立ち会えるかもしれない。そんなことも、割と本気で期待していた。

 あの頃にヒットしたレコードのほとんどを、今はもう聴くことはない。でも、そのうちの何枚かは今でもときどき引っぱり出す。そして、ターンテーブルにのっけって、いい気分になる。今よりずっと振り幅が大きかった頃の、あのきらきらした気持ちを思い出し、なんとなく元気をもらったりする。以前はそういうことがなんだか気恥ずかしく、かっこ悪いことのように思っていた。今はというと、やっぱり、どこか、気恥ずかしい。でも、まぁ、しょうがないよな、とも思うようになった。

 ノスタルジーだけで音楽を聴こうとは思わない。でも、自分が10代だった頃のヒット曲は、当時の空気と密接に結びついているから、切り離しては聴けない。デイヴ・リー・ロスやハニー・ドリッパーズを聴いて気分が明るくなるのは、きっと楽しかった想い出があるからだろう。それは友達とのささいな会話だったり、学校帰りに見た夕焼けの美しさだったりするのかもしれない。そんなことが、また心地よかったりするのだ。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-05-18 09:25 | diary | Comments(0)
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