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Sandfish Records Diary

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所在ないものたちへ

 押入の片づけをすると、予期せぬところから実にいろんなものが出てくる。おそらくそれなりの理由があってそこに仕舞ったのだろうが、その理由というのを今となってはまったく思い出せない。ブルース・スプリングスティーン『ザ・リバー』の市販カセットテープもそのひとつ。これは大学時代の友人がくれたものだ。わけのわからないところから出てきた。

 早速、再生してみる。カセットテープ特有のくぐもった音が、なんだか懐かしい。初めてCDを聴いたときは、ノイズがまったくないクリアな音質に感心したが、所詮そんなものは「雑音がない」だけ。ツルンとした人間味のない音だと感じて、僕はアナログ・レコードを買い続けることにした。その後、CDの音質もどんどんふくよかなものへと進化していくわけだが、改めてカセットテープの音を聴いてみると、ここにある親密な空気感をデジタルで再現するには、ある種の限界を感じてしまう。

 このテープをくれた友人からは、いろんなものをもらっている。その中には彼が書いた小説や旅日記というのもあったりする。僕はちょっとだけ迷ってから、読み返してみたいと思った旅日記の方だけ残して、小説は捨てることにした。きっと彼も今さら読み返されたくないだろうし、まぁいいでしょう。僕のも捨てていいよ。

 他にも、ライブや映画のパンフレット、チラシ、チケットの半券、雑誌や新聞の切り抜き、写真、手紙やハガキ、自分で書いた文章、入院したときの書類、えとせとら、えとせとら。今となっては、そのほとんどがもう僕には必要のないものだ。もしかすると、最初から必要なんてなかったのかもしれない。でも、それらはどこかで僕にひっかかり、今日まで僕のそばにあった。大切なことをすべて覚えておくことなんてできないから、そばに置いていたのかもしれない。でも、そばに置いてあることさえ忘れていたのだから、なんだかなぁである。

 これらのすべてに、なにかの意味を見い出そうとするなら、それはきっと可能だろう。でも、たやすく切り捨てることもできるだろう。そんな所在ないものを背負い込んで、僕はこれまで生きてきたのかもしれない。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-06-02 11:08 | diary | Comments(0)
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