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Sandfish Records Diary

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かつていた場所と今いる場所

 音さがしに疲れ(最近どうも不調だな)、ポール・ウェラーの『Stanley Road』を聴いている。落ち着きと気負いが交錯する生命力に満ちた1枚。このときポール・ウェラーは36歳。ちょうどそんな年齢だったのかなと、今になってみると思う。僕はこのアルバムをほぼ発売と同時に買った。僕は25歳で、重みのあるサウンドを気に入っていた。そして、自分もこんな風に歳をとっていけたらいいなぁと思っていた。好きなものを追い求めて、自分のスタイルを確立していく。そんな歳の取り方だ。当たり前だけど、今よりも無邪気にフレッシュに、そんなことを思っていた。

 昨日は、ジャイアンがテレビで新曲を披露し、村上春樹がバルセロナで原発に関するスピーチをした。僕は馴染みのバー「ウェスリー」へ、数日後沖縄へ引っ越すという宮田まことのドラムを聴きに出かけた。なんの関連性もないこの3つの事柄が、僕の興味を通すことで繋がっている。

 宮田まことのドラムは素晴らしかった。彼の人柄が、音楽への姿勢が、魅力的なものとして伝わってくる。そんなドラムを彼は叩くことができる。宮田まことは誰も知り合いのいない沖縄へ家族で引っ越そうとしていて、僕はこの藤沢という町にずっと住みつづけようとしている。同い年でも人生いろいろだ。

 村上春樹のスピーチもまた、彼の人柄や世界との対峙の仕方が、しっかりと伝わってくるものだった。海外での受賞式を発言の場に選んだのも、村上春樹らしい距離感だと思った。発言を(発言したという行為を)できるだけねじ曲げられないようにするためには、心情的にも物理的にも、ある程度距離をとる必要があると僕も思う。渦中に飛び込んで自分の主張を叫ぶ人もいるが、そういうやり方をこの人は好まないのだろう。

 ジャイアンは、まぁ、なんというか。彼が歌うと、のび太もドラえもんも辛そうな顔をした。いつもの空き地で。いつも通りに。変わらないこともまた素晴らしい。

 今、41歳になって『Stanley Road』を聴くと、25歳だった頃とはまた違う感情が浮かんでくる。それは、ポール・ウェラーのその後の音楽キャリアを知っているからかもしれないし、僕自身も25歳だった頃と今とでは生きている場所が(心情的にも物理的にも)変わったからかもしれない。でも、かつていた場所と今いる場所は、確実に繋がっているのだ。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-06-12 12:45 | diary | Comments(4)
Commented by ブラウニー at 2011-06-12 14:29 x
音探しとは具体的にどういった事をしているのですか?
youtubeなどでライブや一人演奏を探すのですか?それとも、もっと効率の良いインディーズ用のサイトがあるのでしょうか?
Commented by sandfish2007 at 2011-06-12 14:49
◇ブラウニーさん
マイスペースやCDベイビーといったサイトを試聴することが多いです。あとは、アーティストからの売り込みもあります。そうしたことをきっかけにして、リンクをつたってみたり、誰かを紹介されたりと、広がっていきます。

MIYAI
Commented by ブラウニー at 2011-06-12 21:49 x
なるほど。アーティスト側も自分達を売り込みたいからそういった目に付きやすいサイトなどに登録する訳ですね。
私はキャロルキングやカーリーサイモンのような女性アーティストが好きなのですが、昨今、そういったアーティストは売れさせて貰えていない感じがします。チャートにはヒップホップやラップ・ダンスミュージックなどばかり。上手い人は高音やビブラートの自慢をするような曲ばかり。
キャロルのようなタイプにも陽の光を少しでも当ててあげてもらえると嬉しいです。

無理に売れ線を狙わずアーティストのやりたい音楽でCDを出し創作活動を続けて行ける、そんな世の中になって欲しいものです。

応援しています。
Commented by sandfish2007 at 2011-06-13 00:23
◇ブラウニーさん
そうですね。音楽業界もいろいろです。メディアやチャートに登場する人はほんの一握りで、大多数は名もない人達です。ひっそりとでも音楽を仕事にできる人だって、おそらく皆さんが思っている以上に少数です。しかし、そうした中にも素晴らしいアーティストはいるし、普遍性や深みをもった作品もあります。僕の仕事は、自分のできる範囲で、そんな無名だけどクォリティの高い作品をリリースしていくことだと思っています。応援ありがとうございます。

MIYAI
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