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Sandfish Records Diary

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僕が生まれる前の話

 45年前の今日、台風が日本を直撃した。その影響で、前日の夕方着を予定していた飛行機は遅れに遅れ、羽田に到着したのはもうすぐ午前4時になろうといった頃だった。でもまぁ、無事に着いたのだから、そんなことは問題じゃない。しばらくすると飛行機の扉が開き、4人の若いイギリス人がタラップを降りてきた。ビートルズが日本にやって来たのだ。

 雨粒で濡れた窓の向こうに、ジョンとポールとジョージとリンゴの姿が見えた。彼らは軽く手を振っていたが、それが誰に向けられたものなのかはわからなかった。こんな未明にファンの姿を見つけたとは思えないから、おそらく習慣化した儀礼のようなものだったのだろう。でも、そんなことはどうだってよかった。だって、ビートルズが本当に日本にやって来たのだから。

 …と、見てもいないことを、さも見たかのように語るのが、僕のいいところである。

 しかし、僕だって別に嘘をついてるわけじゃない。多少いい加減ではあるが、嘘と断じられるほどのことじゃない。というのも、僕はそのときの写真を数えきれないほど眺め、その手の本を読みあさり、あのときのライブ音源を繰り返し聴いた。そして、ずっと夢見ていたのだ。もし僕があの頃にティーンエイジャーだったならと。いつも想像していた。だから、僕の頭の中には、ビートルズが来日してから日本を去るまでの映像が鮮明に出来上がっている。4人がホテルの部屋でどういう風にテーブルを囲み、加山雄三とすき焼きを食ったのか。ジョージが舞台袖から寺内タケシのギターをどんな顔で聴いていたのか。ポールとマル・エヴァンス(ロード・マネージャー)がホテルを抜け出して皇居のあたりを散歩したとき、どんな人達とすれ違ったのかとか。まぁ、僕はだいたい知っているのだ。どうだ、すごいだろう。

 結論:感情移入とは恐ろしい。

 45年前の今日、台風が日本を直撃した。しかし、その台風が過ぎ去った後に飛行機から降りてきた4人組こそが、僕にしてみれば本当の意味でのハリケーンだった。まだ生まれてさえいなかった僕にショックを与え、その後の人生を大きく左右し、今も夢のような気分を味あわせてくれている。あんなすごい台風、後にも先にもない。あんな幸せなハリケーンなんて、見た事もない。

 それにしても、45年がたつのか。随分の昔の出来事なんだな。

 宮井 章裕
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by sandfish2007 | 2011-06-29 09:30 | diary | Comments(6)
Commented by ブラウニー at 2011-06-29 19:23 x
この日のビートルズですね。
宮井さんの誕生日は「この日」に入ってますか?うちの家族は1人も「この日」に入っていません(笑)

「Hey Judeのレコーディングは俺の誕生日と同じなんだゼ」とか言ってみたかった。。
Commented by sandfish2007 at 2011-06-30 00:21
◇ブラウニーさん
さっき調べたところ、僕の誕生日には「アメリカの『キャッシュボックス』誌で、"I Want to Hold Your Hand"が第1位を獲得」と「サウンドトラック盤『Yellow Submarine』がリリース」なんてことがあったみたいです。しかし、僕が生まれた年にはなにも見当たりませんでした。1970年ですからねぇ。4人が一緒にいたとは思えませんな。残念。

宮井 章裕
Commented by jerry at 2011-06-30 08:08 x
私にとって、「6月29日」は特別な日なんです。
大学生の頃の彼女と付き合い始めた日だったりします。

友達を通して知り合い初めて2人で遊びに行って、彼女が「私が卒業した高校に行きたい!」と言い出して,夜も22時くらいでしょうか・・・
誰も居ないその高校のグランド、朝礼台に腰掛けて、彼女が思い出話を始めて・・・、しばらくしたら、彼女から告白されました!

もちろんこの日は「ビートルズの日」だった事は知っていて、特別な日になった事は今でも覚えています。

彼女を初めて、行きつけのレコード屋に連れて行ったとき、買ったレコードは、
ストーンズの『Voodoo Lounge』のUK盤のアナログでした。
今でもこのレコードには、その時のレシートが挟まっています。

他にこの年に買ったレコードは、Yesの『Talk』、エリックの『From the Cradle』,コステロの『Brutal Youth』 などなど・・・。
とても印象残っているライヴは横浜文体でディランを観た年でしたね。

この年のベストアルバムは、もちろんトム・ペティの『Wildflowers』 です!
彼女とこのアルバムをプレゼントされ、よく車の中で聴きました。
Commented by sandfish2007 at 2011-06-30 10:05
◇jerryさん
おやおや、そんな甘酸っぱい想い出をお持ちとは。その彼女さんもまさかビートルズの来日記念日に合わせて告白したわけではないのでしょうが、素敵な偶然であります。その彼女さんが今の奥様なのか、それとも想い出の中に人なのかはともかくとして、こうした温かな想い出があるから、人は優しさを失わずにいられるのだと思います。

『Wildflowers』や『Voodoo Lounge』というと、僕は大学を卒業して社会人になった年です。ディランのライブは僕もよく覚えてます。オープニングが“Jokerman”で…。感激でしたね。

宮井 章裕
Commented by 俊樹 at 2011-06-30 16:01 x
ビートルズ来日45周年記念ということで、映画Let It Beの映像を記事に添えてアップしてみました。彼らの残した偉大なる功績をあらためて感じております。
Commented by sandfish2007 at 2011-06-30 16:23
◇俊樹さん
もう45年も前のことなんですよね。今も聴きつがれていることに改めて驚かされます。

宮井 章裕
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