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Sandfish Records Diary

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CD流通について

 レーベルを始めた頃、僕はバウンディという卸業者に流通を委託していた。そこだとメジャー流通を使えるからというのが主な理由だった。メジャー流通とは、メジャー各社が共同して作った倉庫に商品を保管し、その流通網を利用することで、注文が入った翌日には日本全国どこのお店にも商品を届けられるというものだ。これにより、僕の自宅はCDだらけにならず、出荷の手間もはぶけるというメリットがある。さらにJASRACへの登録や支払いも申し込めば代行してくれる。ネット配信も手配してくれる。至れり尽くせりだ。

 しかし、便利であるということは、その代価を支払うことでもある。つまり、なにかにつけお金がかかるのだ。インディーズ流通なら出荷手数料だけで済むところを、「いつJASRACから請求がくるかわからないから、その分は留保金とさせていただきます」とか「CDショップから返品された分のお金をサンドフィッシュさんが払えなくなるといけないから、売上げの数パーセントは留保金とさせていただきます」とか、細々と理由をつけて差し引かれていく。留保金とは、言うまでもなくうちのお金なわけだが、これを自由に使うことができない。レーベルの運営に使いたいなと思っても、「それはできませんね。どうしてもというなら稟議事項になりますので」とか言って返してくれない(注:半年ごとに一部返金されるものもある)。そんな留保金が今では何十万円も貯まっている。さらに最近だと倉庫の使用料を別途取るようになった。「保管料は1枚につき毎月2円です。余剰在庫を1枚9円で破棄することもできます。もし引き取られるのでしたら、1枚につき100円の出荷料をいただきます」といった内容。自分の商品を引き取るのにもお金がかかるのだから、やれやれといったところだ。

 こういうシステムでも多売できれば成り立つが、CDが売れなくなったと言われて久しい昨今、うちのような小さな洋楽インディーズには向いてないと思う。ただ、流通を変えるのはなかなか大変なので(廃盤にしたり商品を回収したり…)、最初に出した9枚は今もバウンディを通して出荷しているが、最近リリースした作品はリアル・ミュージックというインディーズ流通の会社を利用している。商品は自宅で保管するようになったし、出荷などの手間もかかるけど、それはそれで楽しい。いろんな面で利便性は低くなったけど、僕にはこの方が向いてるみたいだ。お金も少しは手元に残るようになったし。

 ミュージシャンでレーベルに頼らず自分で流通まで手配する人も、これからはもっと増えてくると思う。ただ、僕もそうだったけど、音楽の仕事をしてる人って割とこの辺のことに無知だったりするから、少しは事情を知った上で自分に合った流通を選んだ方がいいと思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2011-07-29 09:42 | diary | Comments(6)
Commented by える at 2011-08-02 07:47 x
運送便の話なら、今度会ったとき話ますね
Commented by sandfish2007 at 2011-08-03 08:46
◇えるくん
いい話があったらぜひぜひ。どうもありがとう。

MIYAI
Commented by jerry at 2011-08-03 15:22 x
興味深いお話です。

まるで、賃貸の借家のようなシステムですね。

私も、CDのバイヤーをやっていた頃、メーカーの方が売り込みに来店され、

いろいろと商談に応じた経験があります。ただ、量販店ですと、洋楽アーティストは、多くても10枚、大概が1枚か2枚でした。

90年代半のCD全盛の時代で、ミスチル、ジュディマリ、アムロなどは、400~500枚を1店舗で仕入れていました。

売れ残りは、月単位で上限があり、返品もできました。

100枚とか売れ残ったこともありましたが、その分は、封を切って、中古として販売していました。

スーパーファミコンとかプレステとか、中古ゲーム関係でだいぶ儲けていた会社で、

SONYには嫌われ、プレステ本体は卸してくれず、秋葉とかに直接200万とか現金を持って買い付けに行っていました。

懐かしい、過去の話です。
Commented by sandfish2007 at 2011-08-04 00:22
◇jerryさん
それぞれに向いたやり方があるのだと思うのです。彼らは彼らだし、僕は僕。…なんて言うと優等生的ですが、ほんとにそう思ってます。

90年代半ばはまだCDバブルがつづいてましたよね。まだインディーズは返品なしだったかもしれない。だんだんみんな利益に目がくらんでって、どんどんおかしな方向へ流れていったような気がします。あの頃はそんな業界に腹をたててましたが、今となっては懐かしい。華やかだったからかもしれませんね。

MIYAI
Commented by jerry at 2011-08-04 10:09 x
MIYAIさん、おはようございます。

HMVって、渋谷店が閉店して、もう日本から撤退すると思い込んでいたのですが、

未だに、地方では新店を出店しているのですね~、全く存じませんでした。

昨日、HMVからメールが届いて、明日の5日、10時に「成田店」がグランドオープンとの事でビックリしました。

先着順にオリジナルタオルもプレゼントするようなので、行って来ようと思っています。

お昼は、HRCでランチして、クラレンスに逢ってこようと思います。

HMVもHRCも、どのような志を持った店長なのか、話を聞いてきます。

如何にして、顧客を獲得できるか、いくつかのアイディアを持っています。

レコード屋やHRCなど、この国から音楽が衰退していくことが許せないのです。

お互いの共存共栄、HMVとHRCのコラボなど、色々と提案していきます。

いずれも、発祥は、イギリス、ロンドンですからね。
Commented by sandfish2007 at 2011-08-05 09:08
◇jerryさん
HMVは確かもう本国とは無関係で、今はローソンの子会社になっているんだと思います。今うちは、HMVとのつきあいはインターネット販売だけで、店舗まわりはしなくなりました。だから、HMVの内情についてはよくわかっていません。成田店は今日開店ですか。いいお店だといいですね。

MIYAI

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