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Sandfish Records Diary

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ダメ男のつぶやき

人に合わせていくことが、
昔からなんとなく苦手だった。
流されながらも、どうも居心地が悪い。
自然と慣れていくこともなく、時間がたつにつれ、
気持ちはどんどん不自然になるばかり。
その違和感が、頭を固くし、
考え方をいびつなものにさせ、
心は閉ざし気味になり、行動はぎこちなく、
自意識ばかりが高くなる。

気がついてみると、周囲からの僕のイメージは、
どこか偏屈なものになっていた。
例えば、好きな球団を訊ねられると、
まだなにも言ってないのに、
「パ・リーグが好きだよね」と決めつけられる。
(ほんとは巨人ファンだったのに。)
部活はなにかと訊ねられれば、
まだなにも言ってないのに、
「帰宅部でしょ」と決めつけられる。
(ほんとはテニス部だったのに<高校時代>)。
つきあってた彼女からは、
しらけた感じで、こんなことを言われた。
「つまんないことにこだわるよね」
大きなお世話だ。

別に人と違うことをしたいわけじゃない。
少なくとも僕は、
そういった類いの天の邪鬼ではない。
僕はただ自分の好きなようにしていたいのだ。
もしそのせいで不利益を被ったり、
不快な思いをしたとしても、
自分のしたことが原因なら、しょうがない。
受け入れるし、場合によっては責任だってとる。
自分のせいで、人に不快な思いをさせたくはないけど、
これは知らずとやってしまう。
悪気はないのだけど、なぜかやってしまうのだ。

そんなだからというか、やっぱりというか、
会社勤めは長くつづかなかった。
どうして自分でお金を稼ぐようになったのに、
まるで学校みたいに、他人が決めた時間軸の中で、
生きていかねばならないのかが、
僕には理解できなかった。
会社にとっては合理的なことだろうが、
僕の人生には少しも合理的ではなく、
大切な時間を無駄にしているように思えてならなかった。

とはいえ、たいした才能があるわけじゃないから、
なにをやっても、簡単にはうまくいかない。
端から見たら、ふらふらと生きてるように見えるだろうか。
ザッツ・ライト。
若い頃は、夢を追ってると勘違いされたり、
「自由でいいね」と言われたりもしたけど、
そのうちに「まだやってるの?」とか
「ほんとにそれでいいの?」とか言われるようになった。
最近じゃ、面と向かって誰もなにも言ってきやしない。
40才を過ぎて、先々のささやかな安定もなければ、
貯金もない。今のところ、僕の人生は、
そんな風に進んできている。
でも、後悔なんかしていない。
だって、少なくとも、ずっと手を抜くことなく、
僕は生きてきたのだから。

僕がこんな風に生きるようになったのは、
音楽に必要以上に入れ込んだことがきっかけだった。
何十年も音楽のことばかり考えて生きてきた。
音楽のことを考えなかった日なんて1日もない。
振り返ってみると、そういう生き方が、
僕の人生をいくらか極端なものにした節はある。
普通ならこの年齢でしているべき経験を、
僕はいくつもしていなかったりする。
ふと立ち止まったときに気づくのだ。
たくさんの忘れ物をしてきたんだなと。
でも、もしこれまで過ごした時間の中に、
音楽も映画も本もなかったなら、
もし、レノンやディランに、
イーストウッドやジミーに、
サリンジャーやチャンドラーに、
少しも入れ込まなかったとしたなら、
それはなんと味気ない時間だろう。

音楽も映画も本も、
なかったところで、とりたてて困ることはない。
それに、もしあのとき僕がそれらに興味をもたなかったとしても
きっとまたどこかで違う何かに気が向いたはずだ。
…と、もしあなたがそう思うのなら、それは間違っている。
なぜなら、なにかに入れ込むというのは、
本質的に言って、そういうことじゃないからだ。
というのも、僕はなにひとつ選んでいないのだ。
それらは差し出されたのだ。
偶然を装って、僕の前に、ただ差し出されたのだ。
必然だったとか、運命だったとか、
そんな大袈裟な言い方をするつもりはないが、
僕がそれらを選んだわけじゃないことは、
疑いようのない事実なのだ。
だって、そうでなければ、
なぜここまで魂が震えるだろうか?

善かれ悪しかれ、僕はそんな風にして生きていた。
別に生きにくいと思ったことはないし、
周囲をうらやんだこともない。
僕は僕なりに楽しくやってきたし、
たくさんの忘れ物したおかげで、
好きなことをより深く知ることができたから。
立派な人間じゃないのはわかっている。
でも、とりたてて責められる謂われもない。
自分勝手なところはあるけれど、
それのなにが悪い?
そんなの、ちょっと悪いだけじゃないか。
僕は好きなことをしていたい。
みんなも好きなことをすればいいのにと思う。
僕らみんなが自分の好きなように生きれば、
世界は今よりずっと楽しいはずだ。
「好き勝手に生きるのだって大変だよ」と言う人もいるけど、
僕はそんなでもないと思う。
理解してもらうのに、ちょっぴり時間がかかるだけのこと。
ただ、それだけのことだから。

(2011.12.10 「ダメ男ナイト&Potluckナイト」@Bar Cane'sにて朗読)
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by sandfish2007 | 2011-12-11 12:34 | diary | Comments(0)
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