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Sandfish Records Diary

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Easy Money

 どうってことないよ、ミスター
 君の世界がすべて崩れ落ちようが
 音ひとつしないさ
 そして、あの太った連中は、それを滑稽に思うだけだ
 これから僕は町へ行き、あぶく銭をさがす

 僕は38口径のスミス&ウェッソンを持っている
 腹の中は煮えくり返っている
 そして、僕には約束がある
 向こう岸で、あのまぶしいほどに明るい場所で
 人と会う約束がある
 これから僕は町へ行き、あぶく銭をさがす
 
 この歌の主人公は、今まさに足を踏み外そうとしている。拳銃を持って悪銭を稼ぎにいこうというのだから、おそらくまともな仕事じゃないだろう。男は職を失ったのかもしれない。日々の生活も苦しい。だからといって、彼が怠けて生きてきたとは限らない。「なにか」が彼の人生に起きたのだ。そして、それは避けられない種類のものだった。

 以来、まともに生きたくても、それが許されなくなってしまった。でも、太った奴らはそんな彼の人生など気にとめない。手を差し伸べようとはしない。だから、彼は一線を超える決心をしたのだ。

 重たいバスドラムの音が、男の背中を押す。フィドルが、男の最後の力を絞り出そうとする。ブルース・スプリングスティーン『レッキング・ボール』の2曲目“Easy Money”はそんな歌だ。テーマは、誰が彼を追いつめたのか。そして、誰もがいつ「彼」になるかわからないということ。だから、足を踏み外さないよう慎重にならないと。でも、腹の中は煮えくり返ったままだ。

 MIYAI

by sandfish2007 | 2012-03-25 18:18 | diary | Comments(0)
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