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Sandfish Records Diary

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Land of Hope and Dreams

 さぁ、チケットとスーツケースを持って
 列車は轟音を上げて近づいてくる
 どこへ行くのかはわからない
 でも、もうここへは戻らないのは確かだ
 ダーリン、もし疲れているなら
 俺の胸に頭をのせて休むといい
 荷物は持てる分だけ持って
 あとは置いていこう

 大きな車輪が回り、
 太陽の光が射し込む草原を進んでいく
 希望と夢の大地で会わないか

 俺は君のために働き
 君の支えになろう
 この先の旅にはいい道連れが必要だ
 悲しみはここに残していこう
 悲しい過去とは今日を最後に区切りをつけよう
 明日になれば太陽が輝き
 すべての闇は消えてなくなる
 
 ブルース・スプリングスティーンの新作『レッキング・ボール』は、10曲目の“Land of Hope and Dreams”で、これまで投げかけてきたすべての問いに対して、遂にひとつの答えを導き出すことになる。この曲は、長い旅の終着点であり、スプリングスティーン自身の人生観そのものでもある。つまり、僕らはみんな同じ列車に乗っているのだと。この列車には誰でも乗ることができる。銀行家も、政治家も、大企業家も、僕らも、みんなだ。それぞれに生き方は違えど、たくさんの出会いと別れを繰り返しながら、僕らはひとつの目的地へ向かって走っている。そして、いつかその場所=希望の夢の大地で、再会しよう。それがこのアルバムの答えだ。

 この列車は、
 聖者と罪人を乗せて進む
 この列車は、
 敗者と勝者を乗せて進む
 この列車は、
 娼婦と賭博師を乗せて進む
 この列車は、
 失われた魂を乗せて進む

 いいかい、この列車では、
 夢は妨げられたりしない
 この列車では、
 信頼は裏切られない
 
 この列車で、
 鋼鉄の車輪が歌っているのが聞こえないか
 この列車で、
 自由の鐘が鳴り響いているのが聞こえないか
 
 この曲は、1999年にスプリングスティーンがE.ストリート・バンドを再結成したときのツアーで初めて披露された。スプリングスティーンとバンド、そしてファンとの連帯と絆を歌い上げたナンバーだったと理解している。しかし、このアルバムにおいて、その意味合いは大きく広がり、別の意味さえもまとうことになった。この列車はすべてを乗せて走っている。その先にある、光に溢れた草原へ向かって。すべてを許してくれる大海原へ向かって。再び会えるはずの大地へ向かって。車輪の回る音は力強く、けっして止まろうとしない。外では自由の鐘が高らかに鳴り響いている。

 スプリングスティーンのヴォーカルは信念と勇気に溢れ、サウンド全体を牽引していく。バンドが渾身の演奏を聞かせる。音はひたすらにラウドだ。クラレンス・クレモンズのサックスが、思いのたけを吐き出すかのように咆哮する。この曲を聴くたび、僕は背中を強く押され、大いなる英知に包まれるのを感じる。確かにこれはあまりに理想主義的な歌かもしれない。しかし、たくさんの真実も含んでいると思う。その真実を僕らが見失わない限り、車輪は回り続ける。自由の鐘は鳴り続ける。そして、いつか、本当に、辿り着きたい。心からそう願っている。そのために、僕もこの列車に乗っている。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2012-04-05 13:19 | diary | Comments(0)
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