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Sandfish Records Diary

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紅葉の木

 一昨年の4月、両親は長年住み馴れた家から、今暮らしているマンションへ引っ越した。老後に備えて、もう少し利便性の高い環境に移っておこうと考えたからだった。住み馴れた家を売るというのは、それだけで痛みを伴うものだが、僕らが気にしたのは玄関先にある大きな紅葉の木のことだった。親父がこの家を購入したときはそれほど大きな木ではなかったが、年月を経て、引っ越すときにはそれは立派になっていた。毎年見事に紅葉し、その姿をわざわざ眺めに来る人もいたほどだった。言ってみれば、この木は僕ら家族がここで暮らした年月の象徴だった。両親が僕ら兄弟を育て、僕らはこの木と共に成長した。

 両親が引越しを決めた際、家を取り壊して更地にする案も出たが、そうしなかったのはこの木を残したかったというのも、理由のひとつだった。だから、無事買い手が見つかり、その人の趣味が植木や園芸だと聞いたときは、内心ほっとしたものだった。

 正月に家族で集まったとき、この木が切り倒されたことを知った。僕は静かなショックを受けた。考えられる原因として、紅葉の木の根が下水の方に伸びており、何度か排水溝を詰まらせたことがあった。運悪く、新しい人が住み始めてからすぐに根詰まりが発生したのかもしれない。それにしても…と思う。どうしたらあんな立派な木を切り倒そうと思えるのだろう。

 木には人の想いが宿る。この紅葉の木は、僕ら家族にとってまさにそういう木だった。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2013-01-10 09:10 | diary | Comments(0)
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