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Sandfish Records Diary

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The Nylon Curtain

 随分の昔のことになるけれど、僕らの世代(というか僕の周囲では)中学にあがると洋楽を聴くようになるのが、割と普通の流れだった。・・・なんて書くだけでも隔世の感があるけれど、もう30年ほど前の話なのだから実際に隔世なわけで、それもまた当然なのだろう。

 みんなそれぞれに贔屓のアーティストをもっていたが、ビリー・ジョエルを悪く言う友達は、僕が記憶する限りひとりもいなかった。ビリーの音楽は、僕らみんなにとって共通した意味をもっていた。それは、洋楽の入り口。新しい世界への扉だった。

 これが僕より5つくらい年上になると事情は違うだろうし、5つ年下でもやはり違ってくるだろう。あくまでも、僕らにとってはそうだったということだ。

 当時の最新アルバムは『ナイロン・カーテン』。稀代のメロディ・メーカーというビリーのパブリック・イメージからすると、少々シリアスな印象をもったアルバムで、次に出た『イノセント・マン』ほどは人気がなかった気がする。僕も特にお気に入りの1枚というわけじゃなかった。

 『ナイロン・カーテン』は、アルバム全体がひんやりとしたヴェールをまとっていて、どこかとっつきにくいところがあった。しかし、そのヴェールがこのアルバムの鮮度を保っているようにも思える。じわじわと浸透し、心の中に独特の熱を残していく。違和感。今では一番ターンテーブルにのせる機会の多いビリーのアルバムだったりする。

 アルバムの最後で、オーケストラは姿を消してしまう。ミュージカルの途中に。人知れず。誰も気づかないのか、気づかないふりをしているのか。無人の客席を前にステージのカーテンが降りてくる。オーケストラは何処へいったのか?そんな歌でアルバムは締めくくられる。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2013-01-26 07:32 | diary | Comments(0)
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