ブログトップ

Sandfish Records Diary

sandfish.exblog.jp

リバーサイドから

 昨夜、お酒を呑みに出かけようとしたら、突然激しい雨が降り出した。なので、居間に戻ってテレビをつけた。で、野球中継の後に、ポール・マッカートニーのDVDを観た。なんだかデジャ・ヴのようだった(昨日の日記参照)。

 妻が隣で「横道世之介」を読み出したので、僕はジェフ・エメリックの名著「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」を久しぶりに引っぱりだした。大分前の日記にも感想を書いたけど、この分厚い本、とんでもなく面白い。ビートルズが生み出した夢のようなサウンドが、けっして天から舞い降りたものではなく、生身の人間の素晴らしい創意と、お互いのエゴによる絶え間ないストレスを忍耐強く乗り越えて生み出されたものであることが、実際にその音を演出したエメリックの言葉で語られていく。彼の話は、まさに現場の声というべきもので、公平かどうかはともかく、ひとつの真実であるとは言えるだろう。ビートルズに限らず、音楽が生み出される瞬間には、こうした苦しみが共通してあるんだろうなと思ったりもした。

 僕の仕事は、完成した作品をできるだけフラットに感じ取ることから始まる。もし制作の現場に立ち会っていたら、きっとそれは難しいだろう。僕の目線は、常にリスナー側になければならない。しかし、同時に製作現場を想像できることも非常に重要だ。それがないと、作品との間に信頼関係を築くことはできない。例え一方的で間違った思い込みであったとしてもだ。

 音楽は、様々な表情をもつ大きな川のようなものだ。水面を眺めているだけでは、川の底を知ることはできないし、顔を出さなければ外の景色を見ることはできない。今も新しい音楽は、激しい流れの渦に呑み込まれたり、流されたりしながら、生み出されていることだろう。僕はその様子を川岸から見つめている。そして、想いを馳せているのだ。

 MIYAI
[PR]
by sandfish2007 | 2013-05-02 09:38 | diary | Comments(0)
<< 4年前のことを思ったり、猫の歌... がんばれ、俺 >>