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Sandfish Records Diary

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中西文彦&田ノ岡三郎@バー・ケインズ

 雨は上がったのか。ひとまず止んだのか。とりあえずセミの鳴き声が聞こえている。レコード針が新しくなって、いつもより音がクリアになった気がする。今朝はザ・セントラル・パーク・シークスを。こんな小粋な音楽を聴きたくなったのは、おそらく昨日のライヴに影響されてのことだと思う。

 昨夜は、中西文彦&田ノ岡三郎のライヴを観にいつものバー「ケインズ」へ出かけた。中西さんは、言わずもがな、僕が今最も注目しているブラジル系ギタリスト。三郎さんは日本でも屈指のアコーディオン奏者と呼んで過言ではない人だ。そんな実力者の2人のライヴだから、まずハズレはないという安心感と、これまでにも何度か競演しているので息も合っているはずと、期待値はおのずと高くなる。そして、そんな予想通り、とても音楽的な機微に富んだ美しくも楽しい夜となった。

 特に印象に残ったのは、それぞれのオリジナル曲だった。繊細で優しいメロディを紡ぐ中西さんと、ハートウォームな世界観を基調とした三郎さん。2人ともメロディーメイカーなんだなぁと今さらながら感心した。演奏はお互いを尊重しながらも自由度の高いもので、その裏側にあるのが高いミュージシャンシップであるのは言うまでもない。感情の押し引きがダイナミズムを作り出し、2人で演奏することの必然性を生み出していく。それは、今ここで聴いている音楽が、今ここでしか聴けない音楽なんだと観客にわからせることでもある。ライヴの間、様々な情景が浮かんでは消えていった。場所はリオであったり、パリであったり、スペインであったり、瀬戸内海の島であったり、まだ訪れたことのない土地であったり、音楽から浮かびあがってくる景色は様々だったけれど、どの演奏からもある共通した手触りを感じられたのもまた面白かった。

 僕は拍手喝采し、にこにこ笑って、焼酎を3杯ほど呑んだ。少しばかり酔っ払って、三郎さんに「アコーディオンはどこの国の楽器なんですか?」と訊ねた。「ドイツですね」と三郎さんは言った。言われてみれば、あのどことなくいかつい見た目はドイツらしい気がする。でも、その楽器を恋するフランス人が街角で弾いたりしたから、ミュゼットやジプシー・ジャズのような音楽が生まれたのかもしれない。そんなことを酔っ払った頭でぼんやり思ったりした。そんな風にして更けていく夜が、楽しくないわけないのだ。
 
 MIYAI
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by sandfish2007 | 2013-08-01 10:43 | diary | Comments(0)
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