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Sandfish Records Diary

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先輩のお墓参り

 先輩のお墓は見晴らしのいい高台にあった。とてもいい天気で、ずっと向こうの街並みまで見渡せた。「遅くなりました!」と先輩の墓前で言ってみた。先輩が亡くなってから1年5カ月がたっていた。友人と僕が着いたときには、既にきれいな花が添えられており、缶ビールが1本真ん中に置かれていた。僕らも花を供え、線香をあげた。そして、手を合わせて先輩に話しかけた。

 僕が大学を卒業できたのは、先輩のノートのおかげです。その節は大変お世話になりました。生前は僕を仲間と認めてくれてありがとうございました。楽しかった想い出は忘れません。また、たくさんあったであろう無礼は、どうか許してやってください。今が安らかでありますように。奥さんとお子さんのことを見守ってください。

 お彼岸ということもあり、お墓参りの人は絶えなかった。母親と娘、老夫婦、友人同士、いろいろだった。太ったおっさんが、とある家族に墓の営業をかけていた。「だって車が100年ももちますか?もたないでしょう。それを考えると、(お墓は)全然高い買い物じゃないんですよ」。思わず中指を立てそうになったが、今日はそういう日じゃないのでやめた。

 お参りを済ますと、僕らは墓前から離れたところに腰をおろし、遠くの景色を眺めながらジュースを飲んだ。太陽が明るく世界を照らし、横浜のランドマーク・タワーの窓の形までわかった。地面には友人と僕の影がくっきりと映っていた。こうして並んで話をするのは久しぶりだった。

 MIYAI:いい天気だな。弁当でももってくればよかったよ。
 友人:そうだな。ファミレスよりよっぽど気持ちいいだろうしな。
 MIYAI:ランドマーク・タワーが、すぐに近くにあるみたいだね。
 友人:近そうでも、実際は遠いんだろうけどな。
 MIYAI:そうなんだよな。
 友人:若い頃なら、これを恋愛に例えたりしてさ。
 MIYAI:?
 友人:いやぁ、近いようで遠いんだよーなんてさ。
 MIYAI:お前、相変わらずアホだな。

 こんな会話も無条件に空に溶けていくような天気だった。もし先輩が隣にいたとしても、僕らはこんな話をしていたに違いなく、きっと先輩は呆れた目を僕らを見るか、なにか口をはさんできたのだと思う。そんなどうでもいいことが、今では懐かしい。夏のような陽射しを背中に受けながら、僕は会いに来てよかったなと思った。ずっと気になっていたから、会いに来れてよかったなと思った。

 MIYAI

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by sandfish2007 | 2014-09-22 08:08 | diary | Comments(0)
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