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Sandfish Records Diary

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今を生きている

 30歳になった頃から、つまり21世紀になってから、僕は世の流れといったものに興味を失っていった。インターネットが本格的に生活の中に入り込んできて、これまでとは比較にならないほどの情報が押し寄せてきたのも、ちょうどその頃という気がする。「もう把握できない」という思いと、重みを失った多種多様な情報にさらされたことで、僕はそれまで以上に個人的な人間になっていった(以前からもその傾向はあった)。聴く音楽の幅も狭くなった。自分のアンテナや興味にひっかかってこない音には、流行っていようとほとんど気を配らなくなった。そう言い切るのは正しくないにせよ、乱暴に言ってしまえば、そういうことになると思う。

 長いこと、僕は意識的にそんな風にして暮らしてきた。そうしないと、自分が大切だと信じていることに集中できない(あるいは見失ってしまう)と感じたからだった。僕は努めてシンプルであろうとした。そのため、30歳から40歳頃までの僕の想い出は個人的なものばかりだ。あれだけ過剰な情報の渦の中にいたのに、時代という概念からすとんと切り離されているように思える。もちろんそんなことはあり得ないのだけど、ただ、自分の想い出の中にその時代の空気を感じ取るには、いささか繋がりが希薄なのだ。

 40歳を過ぎた頃に変化は訪れた。これまでのツケを払うかのように、あるいは断捨離でもするかのように、僕は肉体面でも精神面でもある種の転換期を迎えることになった。これが一体どういうことだったのかは、まだよく理解できていないのだけど、結果として、僕は人生を折り返すことになった。そして、時をほぼ同じくしてあの大震災が起きた。もうこれまで通りにはいかないのは明らかなことのように思えた。

 …と、そんなこんなで15年ほどが過ぎた。今、僕は2014年を生きている。自分を見つめ直し、道に迷い、小さな発見と喪失を繰り返す毎日を過ごしながらではあるけれど、確かに今を生きている。どこへ向かっているのかはまだわかっていないが、そんな実感だけはあったりする。

 MIYAI

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by sandfish2007 | 2014-11-03 07:42 | diary | Comments(0)
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