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Sandfish Records Diary

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ペンギン・ハイウェイ

 晴天の日曜日。僕は陽当たりの良い部屋で1冊の本を読み終えた。森見登美彦の『ペンギン・ハイウェイ』という小学4年生の男の子が主人公の小説だった。先日読んだこの著者の『夜は短し、歩けよ乙女』がとても面白かったのと、ちょうど妻が図書館から借りてきていたのと、僕が人知れずペンギン好きであることと、ちょうどどこにも出かけずに家で本を読んでいたいと思っていたのと、そんないろんな条件が重なって僕はこの小説を手に取った。思うに、そういうきっかけがなければ、僕は小学生が主人公の本を読むことはなかった気がする。そして、これが本当にいいお話だったのだ。

 『夜は短し、歩けよ乙女』が才気煥発な勢いをもった作品であるとすると、『ペンギン・ハイウェイ』は静かで穏やかな作品だった。起こる出来事は奇想天外なんだけど、大切なのはそこではなく、ゆっくりと変化していく少年の感情の起伏にあった。僕が気に入ったのは、この作品が最後の最後まで、つまりすべてが終わった後の余韻まで、実に丁寧に描いているところだった。本を閉じ、なんとも言えない気持ちに満たされた胸を切ない風が吹き抜けていったとき、それは本当に重要なことに思えた。

 読み終わったとき、時計は午後2時をさしていた。僕らは自転車に乗って、『ペンギン・ハイウェイ』の話をしながら、図書館に『ペンギン・ハイウェイ』を返しに行った。晴天の日曜日。2つの自転車の影の上を雲が流れていった。あの雲のように、僕らも、主人公の少年も、いつか何処かへと辿り着くのだろうなと思ったりした。

 MIYAI

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by sandfish2007 | 2014-11-17 09:11 | diary | Comments(0)
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