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Sandfish Records Diary

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バッドランズ

 昨夜、思うところがあって寝る前に「バッドランズ」を聴いた。4年前に震災があったとき、甲本ヒロトは被災した人達に向けてラジオから語りかけた。そして最後に「それじゃロックン・ロールを聴いてください。ブルース・スプリングスティーンで「バッドランズ」」と紹介したのだ。このとき僕は初めてこの曲が心を叩くだけではなく、複雑な祈りの歌なのだということを知った。ここで歌詞の一部を紹介したい。

 今夜、灯りはなく
 ハートランドではトラブル
 正面衝突
 内蔵に食い込むような
 業火の中に放り出された

 つまり、逃れられない状況に自分がのみこまれたのだとスプリングスティーンは歌っている。この歌に祈りのヴァースは2回ある。最初はこの部分。

 夢を語りたい
 それを実現するための努力がしたい

 しかし、現実はそうたやすくはない。喉元につきつけられるのは、言いようもない不安だ。それは無言のうちに心の闇にすべりこんでくる。

 君は夜中に目をさます
 生々しい不安を感じる
 君は訪れることのない瞬間を
 待ちわびながら生きている

 スプリングスティーンは、そんな世界を「バッドランズ」と歌う。直訳するまでもなく、いい世界だとは思っていない。サビはこんな風だ。

 バッドランズ、僕らはそこで毎日を生きている
 この場所で夢破れた心を立て直さなければならない
 なぜなら、代価は自分で支払うしかないのだから
 何かがわかるまでやりつづけよう
 バッドランズが僕らをまともに扱うようになるまで

 歌は怒りの声となって僕の心の扉を叩く。フレーズは熱を帯び、僕自身が抱く怒りとも繋がっていく。

 貧しい者は金持ちになりたがり
 金持ちは王様になりたがる
 そして王様はすべてを支配するまで満足しない

 2回目の祈りのヴァースはここで登場する。1回目よりも長い。

 今夜は出かけたい
 自分にできることを見つけたい
 僕は君がくれた愛を信じている
 僕は自分を救ってくれるであろう信頼を信じている
 僕は希望を信じ、そして祈る
 いつの日かこのバッドランズから
 抜け出すことができることを

 この歌でスプリングスティーンが言いたいことは、この後に出てくるフレーズに集約されていると言っていいかもしれない。それはこんな希望の言葉だ。

 生きていることが嬉しいと感じることが罪ではないと
 そう心に深く願う者たちの為に
 僕はひとつの顔を見つけたい
 ひとつの場所を見つけたい

 そして、スプリングスティーンはこの後にバッドランズに唾を吐きかける。それは聖人の唾じゃない。悪意と憎しみを込めて唾棄している。それは僕自身の姿であり、もしかすると、あなたの姿でもあるかもしれない。もしこの歌のリアリティがこの部分に象徴されるのであれば、それこそがリアル(現実)なのかもしれない。しかし、きっとそうじゃないのだ。だからこそ、この歌は今も胸に迫ってくる。僕らはもう一歩先の未来を見据えている。見据えているはずなのだ。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2015-01-04 10:05 | diary | Comments(0)
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