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Sandfish Records Diary

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また会いましょう

 2日前の金曜日、10年来お世話になったバイヤーさんがお店を辞めた(注:バイヤーとはCDの発注をする人のこと)。音楽不況がささやかれて久しいが、多くの心ある人達が翼をもがれるようにして次々とこの業界を去っていくと、いつしか僕らは互いのことを最後の砦のように感じるようになった。

 武蔵野のショッピング・センターにある小さなお店の中に、日本一のルーツ・ミュージック・コーナーがあると一体誰が想像できるだろう?そこが彼女の城だった。年々増え続けるたくさんの制約や重荷を、彼女は音楽への愛情だけを武器にはねのけてきた。小柄な体からは想像もできない情熱と、いつも笑顔で楽しそうに音楽の話をする彼女には、たくさんのファンがいた。

 サンドフィッシュ・レコードのCDを世界で一番売ってくれたのも彼女だった。ある年には、エドウィナ・ヘイズがあまたあるメジャー作品を押さえ、お店の洋楽年間ランキングで4位になった。新譜の時期を過ぎても、根気よく試聴機展開をつづけてくれたおかげで、うちの音楽は広がりをみせ認知されていった。いいと思った作品は、メジャー、インディーズ、国内盤、輸入盤に関わらず紹介していくというのが、彼女の確固たるスタンスだった。

 今年の初めに会社を辞めますという連絡をもらったとき、僕は驚かなかった。むしろ今までよくがんばったなと思った。この辺の気持ちを言葉にするのは難しいのだけど、彼女も僕もこの業界での居場所を失いつづけた。かつて翼をもがれて去っていった心ある人達と同じように。僕らは必死になって自分たちのエリアを守ろうとしたけれど、それは決して楽な作業ではなかった。

 2日前の最終出勤日、たくさんの人達が彼女に会いに店を訪れたと知って、僕はとても嬉しかったし、ほんとによかったなと思った。彼女が情熱を傾けてきた仕事は、ちゃんと届くべきところに届いていたのだ。だから、今は心からお疲れ様を伝えたい。素晴らしい音楽の種を蒔き、水を与えてくれてありがとう。また会いましょう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2015-02-15 08:11 | diary | Comments(0)
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