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Sandfish Records Diary

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南藤沢のウッドストックにて

 薄い靄がかかった朝、午前5時50分、新鮮な空気を吸いたくて外に出た。葉についた夜露が朝日に輝く谷戸のあぜ道を歩く。雨も少し降ったようで、いくつかの小さな水たまりができていた。むせ返るような若葉の匂いに包まれ、とても気持ちよかった。

 コーヒーを淹れて、トーストをかじる。ボニー・レイットの「ラブ・ハズ・ノー・プライド」を聴く。この曲を書いたエリック・カズ(※リビー・タイタスとの共作)の新作が来月発売されるという。僕の記憶が正しければ、エリック・カズの新曲をまとめて聴けるのは1978年にリリースされた『クレイグ・フラー/エリック・カズ』以来ではないかと。純粋なソロ作は『カル・デ・サック』が最後で、これは1974年リリース。そうかぁ、新作が出るのかぁ。

 エリック・カズという人は、僕のような古いシンガーソングライター好きには、ちょっと特別な感情を抱いてしまう人なのだ。繊細な感性、美しい旋律、ソウルフルな資質とそれに伴わない声質、ちょっと内省的すぎるのではないかと思わせる歌詞。ひとりでじっくりと聴きたくなる。シンガーソングライターの鏡のような人だ。

 今から13年前、エリック・カズは来日公演を行っている。しかし、僕はその2ヶ月後にポール・マッカートニーの来日を控え、とても観に行ける余裕はなかった。また来てくれることを願いつつ諦めたのだが、やっぱりというかなんというか、来日公演は今のところあれが最初で最後である。今回の新作リリースで、久しぶりに来てくれるかな。

 エリック・カズは、僕の憧れの地、ウッドストックの住人だった(今はどこに住んでいるのだろう)。以前、友達が「新婚旅行ではウッドストックに行きたい」と言っていて、それはいいアイディアだなと思った。実際、僕の場合は箱根の1泊旅行だったけれど、今暮らしている場所は巷のほんの一部で「南藤沢のウッドストック」と呼ばれている。そこで小さなインディーズ・レーベルを営んでいる。

 今朝はそんなのどかな風景の中を歩きながら、エリック・カズのことを考えていた。彼はけっして大きな成功を収めたわけではないけれど、いくつかのヒット曲を提供し、なにより今も大切に聴きつづけることのできる作品を残してくれた。最後のアルバムから来月発売される新作までの間、彼はどんな暮らしをしてきたのだろう。音楽への情熱は持ちつづけていたのだろうか。そんな問いかけへの答えも、きっと新作の中に見つけることができるだろう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2015-05-10 08:18 | diary | Comments(0)
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