6月2日以来となるベイスターズの勝利に酔った夜。待望の筒香のホームランも飛び出し(こちらもほぼ1ヶ月ぶり)、僕らは夏の花火のように夜空へと高く舞い上がり、はじけたのだった。これでセ・リーグは全チーム貯金なし。首位から最下位まで2.5ゲーム差。ほとんど仕切り直したと言っていい。もし今日、巨人と阪神が負けたら、全チームが借金生活になる。そうなったら珍事だな(ちょっと期待)。
というわけで、昨夜は勝利の美酒がくいくいとすすみ、スポーツニュースをチェックした後は、先日の海ジャケ大会から出しっ放しのレコードをあれこれと聴いた。最後にターンテーブルにのせたのは、アート・ガーファンクルの名作『ウォーター・マーク』だった。
A面が終わってレコードをひっくり返すと流れてくるのが「ワンダフル・ワールド」。サム・クックのカヴァーで、アートは朋友ポール・サイモンと最近新作をリリースしたばかりのジェームス・テイラーと一緒に歌っている。トータル感をもったこのアルバムの中では少し浮いているかなと思っていたのだけど、昨夜はしみじみいい曲だなと思った。
歴史も生物学も科学の本も専攻しているフランス語もよくわからないけど、あなたを愛していることは知っているし、もしあなたも僕を愛してくれるなら、世界はなんて素晴らしいのだろう。地理も三角法も代数も計算尺を何に使うのかもよくわからないけど、1たす1が2なのは知っているし、もしその1があなただったなら、世界はなんて素晴らしいのだろう。
そんなシンプルだけど気の利いた恋の歌だ。ベイスターズの勝利とお酒の酔いもあって、僕はぽかぽかした気持ちでこの歌をアートとポールとジェームスと一緒に口ずさんだ。歌の中の学生の恋が成就することを願い、もしうまくいかなかったとしても、彼にとって世界が素晴らしい場所であればいいなと願いながら。
MIYAI