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Sandfish Records Diary

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ワイルド・ウッド

 ポール・ウェラーの『ワイルド・ウッド』を聴いたら、すごくかっこよかった。前作と次作は発売当時に聴いているのに、このアルバムはタイミングを逃したのか、発売から22年がたっての初聴きである。骨太で自然体な演奏に胸が震えた。

 ポール・ウェラーは18歳のときにジャムでデビューし、その後スタイル・カウンシルを経て、ソロになる。デビューしたのが早かったこともあり、ふたつのバンドを解散しても、まだ30歳くらいだった。それはそれで大変だったろうなと思う。だって、のんびりするにはまだ早いし、先が長過ぎる。でも、ポール・ウェラーのかっこいいところは、そこから時間をかけて自分の音楽の理想形へ近づいていってるところだ。『ワイルド・ウッド』はソロ2枚目で、35歳のときの作品。既に不惑と申しますか、我が道を行く男の清々しさが漂っている。

 ブックレットの最後のページに、ポール・ウェラーによる短い詩が載っている。「僕らが水辺に降りて行くにつれ、真夏の空は明るさを失っていった」という言葉でその詩は始まる。しかしウェラーは、もっといいものを求めて、期待を込めて、これまでの希望と夢のすべてを水の中へ投げ込む。すると、木々から光が漏れ、その彼方に野原が広がった。そして、確かに思ったという。ほんの少しの間だが、憎しみや殺し合いや、絶望的な流血のことが脳裏から消えたと。そして、命の持つ可能性が自分にも開かれていると思えた時代があったことを思い出した。「リアルでオープンで。不思議にも、まだそうする価値があると僕は感じた」。ウェラーはそう綴っている。

 とても美しい夏の日の出来事だと思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2015-08-08 06:45 | diary | Comments(0)
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