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Sandfish Records Diary

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最後かもしれないから、良いお年を

 なにやらもの凄い風が吹いている夜明け前である。威圧的というか、不穏というか、とにかくびゅーびゅーと大きな音が鳴っている。

 昨日は仕事を午前中で切り上げ、予定通り、仕事部屋を片づけ、リビングに小さなクリスマス・ツリーを飾ることができた。大学時代の友人が来て、僕の壊れかけた自転車を修理してくれた。いろんなことがスムーズに進んだのは割と珍しい。

 自転車の修理後、一緒にカレーライスを食べた。友人とは大学時代に多くの時間を共に過ごしたが、20年後の今は年に数回顔を合わせる程度になっている。「よぉ、今年はどうだった?」と僕が聞くと、友人は少し口をにごしてから「いやぁ、実はいろいろ大変だったんだよ」と言った。「でも、好きなこともやれたし、悪くなかったのかな」とも付け加えた。

 僕にも先行き不安はあるが、友人は今現実と向き合っていた。それに対して、僕が力になれることは、なにも思いつかなかった。気の利いた言葉も出てこない。軽口をたたいてみたが、ふさわしくなかったなと反省した。ただ話を聞くだけというのは、もどかしいものだなと思った。

 それでも、重たい空気にはならず、くだらない冗談を言い合った。カレーライスを食べ終わると、ほどなくして友人は帰っていった。僕は外まで見送りに出た。「それじゃ。もしかすると今年最後かもしれないから、良いお年を」。友人はそう言って自転車にまたがり、走り去った。その自転車は、かつて僕らが一緒に日本中をあちこち旅していた頃に、彼が乗っていたものだった。

 自転車が角を曲がり、小さなライトが見えなくなると、辺りはひっそりと闇に包まれた。最後かもしれないから、良いお年を。
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by sandfish2007 | 2015-12-04 06:40 | diary | Comments(0)
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