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Sandfish Records Diary

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Love's in Need of Love Today

 24歳でひとり暮らしを始めた頃、朝起きるとほとんど定番と言っていいくらいによく聴いたのが、スティービー・ワンダーの『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・ライフ』だった。バブルは既にはじけていたけど、今に比べると世間にはまだのんびりした空気が漂っていた。阪神淡路大震災も地下鉄サリン事件も起きていなかったし、CDは飛ぶように売れていた。僕は自転車でパタゴニアを旅し、ボブ・ディランのライヴに感激し、社会人になって、倉庫のような場所でCDを出荷していた。

 僕が借りた部屋は17平米ほどの縦長のワンルームで、午前10時にはジャズが似合うくらい薄暗くなった。家賃は4万5千円くらいで、最初の2年間は会社が半額補助してくれたから、少ない給料でも問題なく生活できた。僕は毎朝6時か7時に起きると、レコードを1枚か2枚聴いてから、自転車をこいで15分ほどの営業所まで通った。

 部屋に陽が射す朝の短い時間に、眠い目をこすりながらターンテーブルにレコードをのせるのが日課だった。そして、よくスティービー・ワンダーの歌を聴いた。「ラヴズ・イン・ニーズ・オブ・ラヴ・トゥデイ」を聴くと、あの部屋で暮らしていた頃を思い出す。会社勤めを不自由に感じ、エネルギーをもてあまし、なんとか発散しようと動き回っていた僕を、この曲は暖かな光で包み込み、心のささくれをなだめてくれた。

 あれから僕は変わったし、また変わってなかったりもする。どちらにせよ、今朝も部屋ではスティービーの歌が流れていて、朝陽が明るく部屋を照らしている。
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by sandfish2007 | 2016-01-09 08:02 | diary | Comments(0)
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