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Sandfish Records Diary

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カーマは気まぐれ

 僕は妻とふたり暮らしだ。僕の興味の中心が音楽であるように、彼女にとってのそれは野球ということになる。幸い僕も野球が好きで、彼女は音楽も好きなので、どうにかうまくやっている。

 2月に入りプロ野球の各球団がキャンプ・インした。来月末には2016年のペナント・レースがスタートする。昨日、妻が千葉県にある友達の家へ出かけるというので、「そういえば『週間ベースボール』が春期キャンプの特集だったよ。買って電車の中で読んだら?」と僕が言うと、「そうよね。そうするべきよね」と素直に言われた通りにしたらしい。その夜、馴染みの呑み屋で待ち合わせると、妻は興奮気味に「あたし、オコエ君のこと応援しようかしら。なかなかクレバーな青年よね。ほら、この記事なんだけど…」と話しかけてきた。楽しそうでなによりなのだが、ふと電車の中で『週間ベースボール』を読み耽る彼女の姿が目に浮かんだ。「電車の中で『週間ベースボール』を読んでいる女と、中古レコードのライナーを読んでいる女では、どっちがやばいんだろうね」と僕が言うと、妻は大きく目を見開いて「ライナー読んでる女に決まってるでしょ」と言った。即答だった。僕はうなずいてから「それ、後で僕にも読ませてよ」と言うと、彼女はにっこり笑って「うん」と言った。

 店のカウンターには友達が並び、後ろでは数名が味噌作りを始めた。音楽が小さな音で流れていた。R.E.M.だった。その後、僕の知らないアーティストに変わった。長めのハープの演奏が聞こえてきた。すると妻は「ハープと言えば、やっぱり「カーマは気まぐれ」よね」と言った。わかる人にだけわかればいいのだが、これはなかなかの不意打ちだった。カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」。この曲のイントロと間奏には、確かにハープが入っている。しかし、ハープといえば「カーマは気まぐれ」だなんて、僕は考えたこともないし、これからも考えることはないだろう。しかも、この曲がヒットしたとき、彼女はまだ小学生だったはずだ。「なんでまたそんな風に思うようになったのだろう?」という疑問が頭に浮かんだが、掘り下げる価値もないので放置することにした。横を見ると、妻は美味しそうに熱燗を呑み、イカのルイベをつまんでいた。「これ最高よね。冬の楽しみだわ」とのこと。なによりだ。それは確かにとても美味しいルイベだった。
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by sandfish2007 | 2016-02-03 07:24 | diary | Comments(0)
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