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Sandfish Records Diary

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ダン・ヒックスに捧ぐ

 ダン・ヒックスが亡くなった。彼は僕の音楽の幅を大きく広げてくれた人だ。僕は30代を迎え、これまで聴いてきたものとは違うタイプの音楽を求めていた。そんなとき、カントリーやジャズやラグタイム等の要素をもったダン・ヒックスの軽妙な音楽は、僕にノスタルジックでオールド・タイミーな音楽の楽しさを教えてくれた。高い演奏技術とユーモアを両輪に、ダンはポーカー・フェイスを決めて、いつも飄々としていた。その佇まいは、まさに粋人と呼ぶに相応しく、僕は強い憧れを抱いたものだった。

 11年前に観た来日公演は本当に楽しくて、今でも思い出すと頬がゆるむ。そのときのことは当時のブログにも興奮気味に書いてたりする(こちら→link)。

 昨日の朝、ダンの訃報を知ったとき、とても悲しかった。でも、「仕事しながら彼等の曲を脳内再生してたら、どんどんウキウキヘラヘラしてきちゃって、ちっとも哀しくならないのです。さすがは永遠のヒップな兄貴」という友人の書き込みを読んで、「あぁ、本当にそうだよな」と思えた。よく晴れた午後の時間を、僕は缶ビールを呑みながら、ダン・ヒックス&ザ・ホット・リックスのレコードを聴いて過ごした。そこにはいつも通りのダンがいた。かっこよくて、ユーモアたっぷりで、自分の死さえも他人事のような顔をしている。「俺、死んだの?そうか。ところで、前に死んだのはいつだっけ?」。そんな声が聞こえてくる気がした。

 いつしか陽は沈み夕暮れに。気がつけば、悲しさと同じくらいの元気を、ダン・ヒックスのレコードから受け取っていた。

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by sandfish2007 | 2016-02-08 10:24 | diary | Comments(0)
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