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Sandfish Records Diary

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TSUTSUGO

 今夜、僕は胸が打ち震えるのを感じながらこの文章を書いている。野球の話(というかベイスターズの話)であることを、興味のない人はどうかご容赦いただきたい。だって、しょうがないのだ。打ち震えてしまったのだから。試合終了後、僕はブルース・スプリングスティーンの「サンダー・ロード」をかけながら一緒に歌い、つづけて「ボーン・トゥ・ラン」をかけながら一緒に歌った。それくらいしないと気持ちが収まらなかった。こんなことは長年野球を観てきて(初めてとは言わないけど)割と稀なことなのだ。

 3試合連続で1試合に2ホーマー。そのうち2本は試合の最終回に勝利を決める決勝弾だった。打ったのは筒香嘉智。24歳の横浜DeNAベイスターズの4番バッターである。延長12回裏ツー・アウト、筒香がフル・スウィングした打球は、文字通り弾丸ライナーとなってベイスターズ・ファンが陣取るライト・スタンドに突き刺さった。それが両チームが総力をあげて挑んだ試合のあまりに感動的な幕切れだった。時計の針はもう少しで22時30分をさそうとしていた。

 痺れるシーンはいくつもあった。対戦相手は読売ジャイアンツで、先発はエースの菅野だった。おそらく彼が今のセ・リーグのナンバー・ワン投手だろう。菅野は当たりに当たっている筒香との勝負を避けなかった。最初の打席であわやホームランという大きなファールの後、タイムリー・ヒットで先制点を許したにも関わらず、次の打席ではすべてストレートで勝負してツー・ベースを打たれた。この時点で僕は胸にふつふつと沸き立つもの感じていた。そこから試合は両チームが互いに譲らぬ好ゲームとなり、筒香のひと振りが長かった試合に終止符を打ったのだ。あのライト・スタンドに突き刺さったライナーのようなホームランが。

 「遅くまで応援ありがとうございました」。ヒーロー・インタビューでの筒香は、とても24歳とは思えない落ち着いた口ぶりで質問に答えた。「チームが勝てたことが大事です。広島が(ぶっちぎりで)首位を走ってますが、僕らは一戦一戦目の前の相手と戦っていくだけです」と。

 ここからは僕の勝手な推測なのだけど、数ヶ月後に振り返ったとき、この試合が今年のペナント・レースのターニング・ポイントだったことに気づくのだろう。つまり、僕が言っているのは、横浜DeNAベイスターズがリーグ2位で初めてのクライマックス・シリーズに進出し、本拠地である横浜スタジアムで広島カープと戦うときのことである。そう信じられるくらい、今夜の試合には大きな意味があった。主砲が打ったからだけでなく、先発メンバーも、リリーフ陣も、代打陣も、全員で勝ち取った勝利だったからだ。とはいえ、そうしたチームのがんばりを特別なものにしたのは、やはり筒香のあのホームランだった。

 3試合連続で1試合に2ホーマーは、史上初のとのことだ。ジャイアンツの選手のプレーも素晴らしかった。でも、特別ではなかった。しかし、ベイスターズのプレーは特別だったのだろう。その違いが、この日の勝敗を分けたのかもしれない。その象徴として、12回裏ツー・アウトに放った筒香のサヨナラ・ホームランがあったのだ。ダイアモンドを周り、チームメイトが待ち構えるホームベースを踏む前、筒香がヘルメットを高々と投げ上げたあのシーンがすべてを物語っていた。

 だから今夜、僕は震える胸に手を当てて、あえてこう記しておきたい。今年のベイスターズは侮れないと。必ずやリーグ2位となって、クライマックス・シリーズに進出し、横浜スタジアムで広島カープと日本シリーズを賭けて戦うのだと(注:確か2位になれば本拠地で試合ができるのだと思った)。そこから先は勝てるかわからないけど、僕にとっては、その舞台を踏む選手達を観れるだけで、十分胸が震えてしまうことだろう。というわけで、今年の秋は楽しいことになりそうである。
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by sandfish2007 | 2016-07-23 01:07 | diary | Comments(0)
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