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Sandfish Records Diary

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面影

 小学校の頃、親父や兄貴の影響で釣りが好きになった。最初に釣った魚はハゼだったと思う。小さな天秤にナス型のオモリをつけて、袖バリにゴカイというエサをつけた。親父がリールのついた短い竿で仕掛けを海に落とすと、僕に竿を手渡してくれた。手元にぶるぶるっという手応えがあり、親父に「きたぞ」と言われ、リールを巻いたら愛嬌のある顔をした小さな魚があがってきた。

 それからしばらく僕は釣りに夢中だった。ちょうど世間でも釣りブームが到来し、4年生になると友人達とバスに乗って金沢八景の海まで釣りへ出かけるようになった。狙う魚はハゼからキスやカレイに変わり、クロダイに憧れ、それからニジマスやブラック・バスへと興味は移っていった。誕生日やクリスマスのプレゼントには、投げ竿やルアー・ロッドをねだった。少しづつ自分の道具が揃っていくのが嬉しかった。

 昨日は子供の頃に釣りをした海を約30年振りに訪れた。しかし、過ぎ去った年月は周囲の様子を大きく変えており、昔の面影はほとんど残っていなかった。僕はかつて釣り糸を垂れた湾内を覗き込んだ。過去の記憶は、懐かしさを通り越して、忘却の彼方へ消えようとしていた。カニだけが昔と同じように岸壁を横歩きしていた。

 またここでハゼ釣りをしたら、なにかを思い出すのだろうか。
 
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by sandfish2007 | 2016-10-05 07:37 | diary | Comments(0)
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