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Sandfish Records Diary

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僕の伯父さんとレナード・コーエン

 ほぼ同時にふたつの訃報を知った。ひとりはサンディエゴに暮らす僕の伯父さん。もうひとりはレナード・コーエン。

 伯父さんは、僕の親父の7つ上の兄で、宮井家の大黒柱のような人だった。僕が物心ついた頃にはアメリカにいたから、会う機会は多くなかったけど、気っ風のいい魅力的な人だった。小さい体ながら堂々としていて、男っぽい口調で話し、いつも自信に満ちているように見えた。親父が手本とした人でもあった。伯父さんとの想い出はいくつかある。子供の頃に家の庭で剣道の真似事をした。就職の祝いにエリック・クラプトンのCDをプレゼントしてくれた(僕がねだったのだが)。初めて会った妻のことを誉めてくれた。そして、酒の席で聞く話はいつも面白かった。最後に会ったのがいつだったかは覚えてないが、おそらく横須賀のお寺だろう。そこには宮井家のお墓があるから、再会の場所もそこになるかもしれない。享年85歳。もうあの顔を見れないのかと思うと淋しい。

 レナード・コーエンのことを僕はよく知らない。好きだけど、よくは知らないのだ。享年82歳。個人的な想い出といえば「ハレルヤ」だろうか。馴染みの店で友達がコーエンの「ハレルヤ」を歌ったことがあった。僕はそのときのことをとっかかりに文章を書いた。そして、友達の結婚パーティーのために読んだことがあった。あのとき、この美しい歌のソウルのようなものが、僕の拙い文章を通じてでも、その場にいる人達に届いたような気がした。それはこんな歌だった。

 秘密のコードを聴いた
 4度の和音 5度の和音
 マイナーに落として、メジャーに戻る
 困惑した王様が作った歌
 それが「ハレルヤ」 
 ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ

 あの夜の「ハレルヤ」は祝福の歌だった。今夜の「ハレルヤ」はレクイエムだ。コーエンと僕の伯父さんのための。生と死はどこまでも似ている。悲しい夜に感謝と祈りを込めて。
 
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by sandfish2007 | 2016-11-12 00:08 | diary | Comments(0)
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