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Sandfish Records Diary

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『想像ラジオ』と『トリプリケート』

 昨日、ボブ・ディランの新作『トリプリケート』が届いた。でも、僕は読みかけの小説があったので、まずそちらを読んでから聴こうと思った。

 その本は、いとうせいこうの『想像ラジオ』という小説で、東日本大震災の2年後に出版され、その2年後に文庫本となり、そのさらに2年後に僕は読んだことになる。あの震災を背景に、高い樹木の上にひっかかった男が、事態を把握できないまま、想像力を使ったラジオ放送を始めるという物語。軽妙な文章は暗くなることなく、男はたくさんのリスナーと繋がることで、次第に現実を受け入れていく。

 そして僕はといえば、本を楽しく読め進めながら、6年前の震災のときに感じた気持ちのディテールをいくつも想い出していた。それらは、袋の中でくだけたお煎餅のかけらみたいに粉々なまま、僕の心に残っていた。どこにも結びつかずに放置されたそれらの気持ちを想い出すことで、僕は初心に戻れたような気がした。あの日以降、僕は確かに変わったのだ。

 想像ラジオでは、リスナーが聴きたい曲を好きに聴くことができる。だから、僕は傍らに置かれたボブ・ディランの新作を聴いているような気持ちで読んだ。まだ未聴だったけど、だいたいの内容は察しがついていたし、きっとぴったりだろうと思ったから。

 今朝はそのアルバム『トリプリケート』を聴きながら、このブログを書いている。『想像ラジオ』の物語を想い出しながら。6年前から放っておいたままの気持ちを感じながら。 

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by sandfish2007 | 2017-04-02 08:06 | diary | Comments(0)
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