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Sandfish Records Diary

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Bad Girl Songs

 トニー・コジネクの『Bad Girl Songs』をかけながら、部屋の空気を入れ替え中。はかなさを秘めた歌が、ひんやりした風にのって、きらきらと揺れながら、流れ去っていく。そんな昼下がり。

 昨夜は大学時代の友達2人とお酒を飲んだ。ひとりは学校の先生をやっている。ポジティヴな批判性をもった男なので、先生には向いていると思う。きっと生徒にも人気があるんだろうけど、本人にそんなことは言わない。故郷の高知県で結婚し、奥さんと小さな子供がふたりいる。もうひとりは病院で夜勤の仕事をしていて、もう10年以上になる。そろそろ夜勤はしんどい歳だとも思うのだが、そいつは今も超人的な体力を保持しているので、問題はないみたいだった。そういう意味では向いてるのかもしんない。未婚。鎌倉の実家で両親と数台の自転車と一緒に暮らしている。

 久しぶりに会って、僕らはいろんな話をした。細かいことを説明しなくても、だいたいのことはわかりあえるのがいい。昔からの仲間とはいいものだなと思った。1軒目の居酒屋では高知県在住の友達が支払い、2軒目のバーでは鎌倉在住の友達が支払った。じゃ、3軒目のラーメン屋は僕がと思ったら、もうなにも食いたくないからいいと言われた。わりぃね。

 近所のスーパーで日本酒とニンジンとティッシュペーパーを購入して帰宅。ワインをくびくび飲みながら、うだうだと話をする。日本酒を飲む。大根の皮のきんぴらをつまむ。グラディス・ナイトのレコードをかけたときには、かなり酔っぱらっていた。ひとりになると、ベッドに寝転び、溜息をひとつついた。それはぼんやりとした靄となって中空を舞い、僕を上にふんわりと落ちてきた。そんなわけで、今朝は少しだけ頭が痛かった。もう平気だけど。さ、今日も飲もう。そうしよう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-31 15:07 | diary | Comments(0)

ジェローム・デヴィッド・サリンジャー

 空が白んでくる時間に、のっそりと起きて、牛乳を飲む。「モー」とか言ってみたりする。ひとり暮らしが長いと、口がゆるんでいけないなぁと思ったりする。それからレッチリをかける。朝ご飯を食べる。冷たい水で顔を洗う。頭が覚醒する。雲がほのかに赤く染まっている。空がどんどん明るさを増していく。1日がまた始ろうとしている。

 J.D.サリンジャーが死んだ。91歳だった。さすがに胸に去来するものがある。『ライ麦畑でつかまえて』、『ナイン・ストーリーズ』、『フラニーとゾーイー』、『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-』。少なくとも僕が読んだサリンジャーの作品は、どれも崩壊寸前の(そして、ときに崩壊した)イノセンスに貫かれた素晴らしいものばかりだった。もし、これまでで一番心の深い部分に届いた本はなにかと問われれば、僕はこれらの作品をまず最初にあげねばならない。サリンジャーは、活字嫌いだった僕が初めて夢中になった作家であり、折りをみては手にとって読み返した数少ない作家のひとりだった。

 『ライ麦畑』の中で、ホールデン・コールフィールドが、寝静まった寮の廊下で叫ぶシーンは、10代だった僕に強烈な印象を残した。自分もホールデンと一緒に叫んでいるような、そんな共鳴が体中を走り抜けたのを、今でもはっきりと覚えている。それはまるでスプリングスティーンやディランの歌みたいだった。

 サリンジャーは、40代半ばを最後に小説を発表してない。つまり、人生の後半はまるまる、作家ではなかったことになる。しかし、残した作品があまりに強い力をもってしまったため、彼は世間的には作家でありつづけてしまった。でも、そんなの、彼にはあずかり知らないことだったのかもしれない。

 自宅に閉じ籠るように暮らした人生の後半の時間。彼がなにを求めてそうしたのか、僕には知る由もない。でも、もし彼が本当の静けさを求めていたのなら、今はただ安らかな気持ちであってほしいと願う。

 思えば、もう何年もサリンジャーの本を読んでいない気がする。それなのに、彼がこの世を去ったら、こんな日記をつけたりする。結局、僕も「世間」の一部に過ぎない。世界中にいる僕のような人間が、彼を無言のうちに追いつめたのかもしれない。そんなことはないのかもしれないけれど。もしかすると。

 それでもサリンジャーは生きた。91年間生きてから、死んだ。そのことに僕は感謝したい。死することと同様に、生きることもまたイノセンスなんだと、僕は思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-30 07:32 | diary | Comments(0)

東京の夜は更けて

 相変わらずお寝坊な朝。スープにマカロニを入れていただく。トーストにポテトサラダをのっけていただく。美味しい。

 昨夜は、ビートリィな友人が誕生日のお祝いにと焼肉をご馳走してくれた。それはそれはたいそう美味しい焼肉屋さんで、いちいち唸らされながら食べた。友人は、誕生日プレゼントにと、フー・ファイターズのベスト盤、チャボのライヴDVDを僕にくれた。そして、これらを選んだ理由を話してくれた。僕は深く感謝した。なによりも、その心づかいが嬉しかった。キャロル・キングとジェームス・テイラー、そしてディランのチケットも無事入手。これで会いに行ける。

 焼肉後は、銀座にあるロック・バー「ZEP」へ。久しぶりにマスターとご挨拶。「とうとう四十路ですね」と、お祝いにジョニー・ウォーカーのブルー・ラベルをご馳走してくれた(ありがとうございます)。そして、リンゴの新作をみんなで聴いた。とてもいい作品に仕上がっていて、嬉しかった。いただいたばかりのフー・ファイターズ、そしてポールのライヴ盤も友人の選曲で試聴。どちらもかっちょいい。

 帰りの電車では、運良く座ることができたので、ゆっくりと思いに耽ることができた。この仕事を長くつづけていくためにも、焦らず自分のペースでやっていこうと思っているけど、気にかけてくれたり期待してくれてる人達がいることも知っている。その人達から、僕はたくさんの勇気と励ましをもらってきた。だから、そんな気持ちに応えることも、ちゃんと考えていきたいと改めて思ったりした。良い夜だった。焼肉、リンゴの新作、ブルーラベルの味と共に、ずっと忘れないと思う。どうもありがとう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-29 09:53 | diary | Comments(0)

Veedon Fleece

 なんだか久しぶりな曇り空。薄暗い部屋でヴァン・モリソンの『Veedon Fleece』を聴く。しっくりくる。ひょっとすると、このアルバムは今日みたいな日に録られたのかな?と思ってしまうくらい。単に僕の今の気分と合ってるだけなのかもしんないけど。寝坊したせいで、たまったゴミが出せなかった。今日もちゃんと起きれなかったぜぃ。へいへい。バット・イッツ・オーライ。そんな気分。

 自分でもびっくりするくらいに、ニュー・リリースの準備が遅々としか進まない。いいアーティストはいる。しかし、ものすごくいいアーティストではない。全体のクォリティは高い。でも、もうひとつ心が揺さぶられない。夜にオファーを決めては、朝になるとやっぱりやめる。そんなことを何度繰り返しただろう。ま、焦ってもしょうがない。ちょっとづつでも前進しているなら、それで良しとしよう。つづけていれば、きっと巡り会えるはずだ。

 ニュー・リリースが決まってもいないうちから言うのもなんだけど、今度のリリースでは、これまでとは違うやり方を試してみようと思っている。既存のシステムに寄らないやり方。余ったら返してもいいから置いてください的なやり方は、基本的にはしないつもり。話し合いはする。でも、返品を取らないと言った時点で、ほとんどの場合話にならないだろうな。これまで僕が長い時間をかけて築いてきた販路の大半を失うことになるかもしれない。でも、やる価値はある。DIY精神が、独自性が、今は試されているのだと思う。

 僕はサンドフィッシュ・レコードを、メインストリートから1本はずれた路地にある小さな店みたいなものだと思ってる。時代の流れを少し離れた場所で眺めながら、自分達にしかできないことをやっていく。そして、町の風景が様変わりしても、路地を1本入ればいつでもそこにあるような、そんな存在でありたい。

 『Veedon Fleece』が流れている。ヴァン・モリソンが“Bulbs”を歌っている。とてもいい。つくづくいい。僕もこれくらい凛とした気持ちで仕事をしていこう。そうしよう。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-28 10:29 | diary | Comments(2)

Y Not

 またしても朝ちゃんと起きれなくなってきている。6時に目覚ましをセットしたら7時、7時にセットしたら8時。そんな感じ。僕にとって朝は大事な時間なので、これはあまりよろしくない。きっと、なにかが欠けているのだと思う。例えば、肉とか野菜とか果物とか。あと、ラーメンとかチャーハンとかギョーザとか。それから、カレーとか焼そばとか。えとせとらえとせとら。

 最近、リンゴ・スターが新作『Y Not』をリリースした。国内盤は今日発売だから、もう店頭に並んでるはず。僕はまだ買ってないので、今朝は前作の『Liverpool 8』を聴いてたりする。これ、発売当初はどうもしっくりこなくて、あまり聴かなかったんだけど、今聴くとなんだかとてもいい。音楽はそのときの気分で感じ方が変わる。そこがやっかいなところであり、いいところでもある。

 そんなリンゴは、今年の七夕で70歳になる。「ひぇー」と僕が一言つぶやいたところで、きっと本人もむっとしたりはしないだろう。70歳というのは、40歳の僕から見ても、それくらいの年齢だったりする。しかし、ビートルズが70歳とはねぇ。いやはやなんとも。

 多くのベテラン・ミュージシャンがそうであるように、リンゴもまた、いくつになってもロックン・ロールやポップ・ソングが歌えることを証明している。それは彼がビートルズだったからかもしれないけど、もし彼が僕らと同じようにビートルズじゃなかったとしても、きっとできるんじゃないかな。そこが音楽のいいところだ。やっかいなところじゃない。

 いつか僕らも歳をとるわけで…ってまぁ今もとってるわけだけど、いくつになっても新鮮な気持ちで音楽を楽しめたらいいなと心から思う。それが無理なら、苦楽を共にしてでも一緒に歳をとっていきたい。ずっと「ここ」にいられたらいいなと思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-27 09:43 | diary | Comments(2)

湘南パトロール

 昨夜の湘南パトロールのライヴを、ラジオのオンエアで聴いた。いやぁ、ぶっ飛んだ。「トーキョー・シティー・ヒエラルキー」では心が震えて、体に力が入って、息が少し苦しくなるほどだった。山口洋の無骨なロマンティシズムの結晶のようなこの曲に、リクオがこれっきゃないってくらいの最高のピアノ・プレイで応え、曲に信頼と共感のエネルギーを与えていく。音楽が一気に高まりをみせ、演奏する側と聴く側の魂が繋がっていく。一緒にもっと高い場所へと昇っていく。ソウル・トゥ・ソウル。ハイヤー・アンド・ハイヤー。

 山口洋やリクオは、1年の多くの時間を旅に費やしている現代のホーボー・ミュージシャンだ。そうした経験の積み重ねが、彼らの音楽に決定的なリアリティーを与えていると、僕は思う。コミュニティFMでの放送ではあったけど、彼らのようなタフなミュージシャンの音楽が、ライヴというストレートな形でオンエアされる意義はとても大きい。そこにはギミックがないし、逃げる場所も隠れる場所もない。彼らがいつも身を置いているのは、そういう場所なのだ。

 素晴らしいと思うのは、いつだって希望があるということだ。音楽から、この瞬間を楽しもうという気持ちが感じ取れるということ。そんな演奏に僕らは勇気づけられ、うまくいけば明日を、ほんのちょっぴり明るい気持ちで過ごすことができるかもしれない。そういうものだと思う。

 パーソナリティーのはっとくんが参加して山口洋と一緒に歌った「満月の夕」も素敵だった。歌はたくさんの人に歌われてこそ、たくさんの人たちのものになるのかもしれない。この曲を聴くと、いつもそんな気持ちにさせられる。

 昨夜の放送を聴いた人は、きっと彼らのライヴを観てみたいと思うんじゃないかな?土曜日の12時から再放送があるので(番組は11時30分からだけどライヴは12時から)、これはもうぜひとも聴いてみてほしい(こちら→link。レディオ湘南を選んでクリック)。

 あ、「サンドフィッシュ・カフェ」を聴いてくれた皆さん、どうもありがとうございました。いつもあんなですが(脱力系)、楽しんでもらえてたら嬉しいっす。押忍。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-26 09:18 | diary | Comments(0)

Showtime!

 500mlの空き缶が34本。やっつけたなり。あー楽しかった。楽しすぎて、なにを話したんだかあんまし覚えてないやい。最後の方は、みんなで歌って、ギター弾いて、かなり騒々しかったと思う。えっと、ろっけんろー。りずむあんぶるーす。あんど、ごめんなさい。

 誕生日のプレゼントにと、アン・ピーブルズのレコードをもらった。最高レベルのハイ・サウンドで1日がスタートするのは、なんて幸せなことなんだろう。で、今はというと、これまた最高なJ.ガイルズ・バンドの『Showtime!』を(こちらもいただきもの。どうもありがとう)。こんな天気のいい日に、こんなかっちょいいロックン・ロールを聴いて、最高じゃないわけがないのだ。おーいぇー。

 さてと、今日はひと月に1回の「サンドフィッシュ・カフェ」放送日です。21時前後に5分だけ。もしよかったら聴いてみてください。インターネットでも聴けます(こちら→link。レディオ湘南を選んでクリック)。

 で、このコーナーを放送してくれてる「湘南まちかどミュージック・パラダイス」が、今夜で放送200回とのこと(パーソナリティーのはっとくん、おめでとう!)。それを記念して湘南パトロールなるバンドのライヴを生放送するんだとか。メンバーが、リクオ、山口洋、上原ユカリ、Pすけという、強者揃いなんで、僕もラジオで聴くのが楽しみ。「サンドフィッシュ・カフェ」は、その合間に流れるみたい。合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。放送は20:30から。

 窓を開けてるので、今かけてるJ.ガイルズ・バンドの演奏が外にも流れてるはず。マジック・ディックが吹くブルースハープが聞こえてるはず。もしいろんな家の窓から、J.ガイルズ・バンドやローリング・ストーンズが聞こえてきたら、きっと楽しいだろうなぁと思う。そんな快晴の月曜日。今週もがんばってこう。おー。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-25 11:15 | diary | Comments(0)

エレクトリック・ギター

 今日は午後から友達がどどっと遊びに来る。各々が片方の手にレコードを、もう片方の手にビールも持って、やって来るんだと思う。それからみんなで一緒に酔っぱらうのだと思う。

 なんて素晴らしいんだ。この世の春だぜ。

 ほんじゃいっちょ盛り上がってこうかと、ルー・リードの名作『New York』をかける。ルー・リードを聴くと、いつもエレキ・ギターが弾きたくなる。ルーのギターから、エレキ・ギターの本来の姿と、高いポテンシャルを感じる。それは、無駄を削り取ることで見えてくる景色…だったりする。

 高校生のときに買った『Velvet Underground & Nico』は、本当に素晴らしいレコードだった。あそこからルーは、たくさんの逡巡を繰り返し、どんどん我が身を削り、音を削っていったように思う。少なくとも僕には、彼の弾くエレキ・ギターはそんな風に響く。そして、きっとルーは、エレキ・ギターがとても好きなんだと思う。

 朝の光を感じながら、ルー・リードを聴くというのも、なかなか悪くない。ま、作品にもよるけど。

 僕の部屋にはエレキ・ギターが2本ある。ビートルズのメンバーと同じギターが欲しくて買ったエピフォン・カジノと、友達が置いていったキース・リチャーズ風のフェンダー・テレキャスター。どちらもぽんこつ気味だけど、どうにか音は出る。さっきちょっと弾いてみたんだけど、やっぱりエレキ・ギターはいいものだ。元気をくれるね。

 今日はみんなでギターも弾けたらいいなと思う。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-24 10:40 | diary | Comments(0)

For All You Mad Musicians

 ふらふら〜っと帰ってきた夜、テレビをつけたら『天使にラブソングを』がやっていたので、なんとなく観る。僕はこれを公開当時に映画館で観たんだけど、そのときはそこそこに楽しかった記憶がある。で、何年振りかに観た昨夜も、やっぱりそこそこな楽しさだった。きっとそこそこな映画なんだろなぁと思ったりした。えっと、僕的にはということで。

 それから、友人に貸してもらったマイケル・ジョンソンの『For All You Mad Musicians』をターンテーブルにのっけて聴いた。僕はこの人のことをほとんど知らないのだけど、素晴らしかった。全編ギターと歌だけなんだけど、ギターがすごく上手だし、なにより雰囲気がある。とても素朴で、ゴージャスなところが微塵もなくて、温かい。「いやぁ、最高だなぁ」と思って、ちょっくらインターネットで検索したところ、「恐ろしく地味な内容」と書かれているのを発見。ふーむ。結局、音楽って好き嫌いなんだよねぇ…と思ったりした。ほんと最高なんだけどなぁ。もしこんなアルバムをリリースできたら、すごく誇らしい気分になると思う。

 そんなことを考えながら、風呂につかる。ぶくぶくと泡などをたててみたりする。あやうく寝そうになる。ふぃー。

 今朝はトーストを焼いて、卵をのっけて食べた。コーヒーを煎れて飲んだ。ちょっぴり久しぶりな気がした。やっぱり落ち着くなぁと思ったりした。窓の外がひんやりしているのは、部屋の中からでもわかる。そんな朝だったりする。

 MIYAI
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by sandfish2007 | 2010-01-23 08:01 | diary | Comments(0)

RIKUO & PIANO

 この日記にも時折名前が出てくるリクオさんが、先日ニュー・アルバムをリリースした。70年代から現在までの日本人ミュージシャンの歌を集めたカヴァー・アルバムで、全曲リクオさんの歌とピアノだけという弾き語りの形式をとっている。タイトルは『RIKUO & PIANO』で、ニーナ・シモンの名作を思い出させる。以前、ニーナへのリスペクトを口にしていたのを知っていたので、本人にそう言ったら「それやねん」とにんまり笑っていた。そういう人なのだ。きっと。

 僕がこれまで観てきたリクオさんのライヴは、ほぼすべて酒場での弾き語りだった。だから、これは僕にとって一番馴染みのあるリクオさんということになる。僕はオリジナルが好きなんだけど、ライヴではカヴァーも分け隔てなく歌われていた。で、酔っぱらってくるとその頻度が増えた。そんなときのリクオさんはとても楽しそうで、ピアノもより酒場的になってくる。なんというか、そういう人なんだと思う。多分。

 このアルバムは、江ノ島の付け根にあるイベント・スペースで録音された。自転車に乗ってると、これからレコーディングに向かうリクオさんに会ったりもした。だから、このアルバムは、江ノ島の海や空や光や風、この土地特有の開けっぴろげでリラックスした空気に包まれている。リクオさんの歌も、グランドピアノの音色も、そんな空気の中で震えている。

 僕は、スーパー・バター・ドッグの「さよならCOLOR」と小坂忠の「機関車」が気に入っている。そして、ラストに収められた唯一のセルフ・カヴァー「胸が痛いよ」。この曲に関しては、清志郎の想い出と共にリクオさん自身が文章を綴っている(こちら→link)。とてもいい話だと思った。

 もう何度もこのアルバムを聴いている。素敵なアルバムだ。ナチュラルなリクオさんがここにはいて、この人の人間としての魅力の大きさに改めて気づかされる。うまく言えないのだが、生きてきた時間が歌とピアノから伝わってくる。それこそがリアル・ミュージックなんだと思う。本当の音楽なんだと、僕は思う。

 MIYAI


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by sandfish2007 | 2010-01-22 09:46 | diary | Comments(0)