ちょうど1年ほど前、ニューヨークのシェイ・スタジアムが老朽化を理由に取り壊された。最後にビリー・ジョエルがそこでライブをやったんだけど、そのダイジェスト映像(1時間半)を友人からいただいた。
新譜の発送作業をすべて済ませ、イーグルスをかけながらパソコンのキーボードを掃除し、セックス・ピストルズを聴きながら自転車のパンクを修理した後、僕はテーブルにポテトサラダと海藻の煮物と柿ピーを並べ、コップにビールを注いだ。さぁ、ビリーの時間だ。
のんびりとビールを飲みながら、ビリー・ジョエルの名曲の数々を楽しむというのは、それなりに贅沢な時間の過ごし方だと思う。で、これがほんとによかったのだ。“She's Always a Woman”とか“Good Night Saigon”とか“Scenes From an Italian Restaurant”とかを歌うビリーを見てると、それだけで胸に温かいものが広がっていった。そこにはノスタルジーも少なからず含まれていただろう。でも、それ以上に曲のもつ力がそうさせるのだなぁと、僕は思った。
何十年に渡って人の心に残りつづける歌と、忘れられていく歌の間には、いったいなにが横たわっているのだろう?
この日は東京ドームでイーグルスのライブがあったり、チャボのトリビュート・ライブがあったり、地元では10店舗同時開催のミュージック・イベント「サウス・ブロック・パーティー」があったりと、あちこちで楽しそうなことが行われていたけど、僕は家にいてよかった。だって、のんびりとビリー・ジョエルの歌を楽しめたのだから。
MIYAI