昨夜、友人からのメールでフィービー・スノウが亡くなったことを知った。好きなミュージシャンの訃報が珍しいことではなくなって久しいが、やっぱり淋しい気持ちになる。フィービー・スノウはディープな歌声と、ジャズとブルースをほどよくブレンドした洗練された音楽性を持っていた。悲しい歌を歌ってもどこか朗らかで、母性を強く感じさせた。
昨日は他にもいくつか訃報が届いた。数日前もいくつか聞いた。そして、被災地では今も行方知れずの人達がたくさんいる。でも、僕は今こうして生きている。元気に生きている。この差は一体なんだろう?なにが生と死を分けるのだろう?わからない。昔、お袋に「時間は大切な宝物」と言われた。僕にわかるのは、僕の手にはまだ時間があるということだ。
フィービー・スノウに“Harpo's Blues”という歌がある。テディ・ウィルソンが素敵なピアノ・ソロを聞かせてくれる曲だ。ヴォーカルに絡むテナー・サックスはズート・シムズだ。しかし、なにより生きる喜びを滲ませたフィービーの歌声が素晴らしい。これは確か亡くなった友人に捧げられた歌だ。彼の分も精一杯生きるという歌だと、僕は勝手に思っている。
だって、僕らにはまだ時間があるのだから。
MIYAI