ブルース・スプリングスティーンの新作『レッキング・ボール』のラストを飾る“We Are Alive”。この歌の主人公は、既に亡くなった人達だ。ある夜、十字架が立つ丘で、彼らは蘇る。冷たい墓石に耳を当てると、彼らのこんな歌が聞こえてくる。
俺たちは生きている
俺たちの体は暗闇の中で
孤独に横たわっているけれど
俺たちの魂は立ち上がる
火を運び、スパークさせるために
肩を寄せ合い、心を寄せ合い、
共に立ち上がるために
耳をすますといろんな人の声が聞こえてくる。「俺は1877年にメリーランドの鉄道ストで殺された」、「わたしは1963年の日曜日の朝に殺された」、「奴らは俺たちの体を放置し、そのまま腐らせた。でも、あいつらに伝えてくれよ。俺たちは生きてるぞ。仲間と共に立ち上がるために、俺たちはここにいるぞ」と。
これは、石ころだらけの土地を旅し、倒れていった者達の声だ。その声は僕らの歴史であり、僕ら自身の声でもある。いつの日か、僕らもまた倒れる。でも、それはいなくなるってことじゃない。アコースティックな手触りの演奏は、リラックスしていて、祝祭的で、楽しげでさえある。まるで死者たちが「俺たちがいることも忘れないでくれよ」と笑顔で語りかけているかのように。ちょうど映画でいうところのエンド・ロールのように。
希望と夢の大地に向かって走る列車は、彼らのことも乗せている。僕らと共に、今も旅をつづけているのだ。
MIYAI