ジェフリー・フォスケットの『スルー・マイ・ウィンドウ』は、長年の愛聴盤。ビーチ・ボーイズよりもビーチ・ボーイズらしい歌ばかりがぎっしりと詰まっている。それもそのはず。ジェフリーはかれこれ30年以上に渡ってビーチ・ボーイズやブライアン・ウィルソンをサポートしつづけているわけで、もはや準メンバーといっても過言ではない。だから、これはビーチ・ボーイズへの愛情いっぱいのオマージュであると同時に、本物のビーチ・ボーイズ・サウンドでもあるのだ。夏空が広がる週末の朝にジェフリー・フォスケットを聴くなんて、それだけで素敵なことだ。
昨夜、妻がとっかえひっかえしながらかけるCDを焼酎を呑みながら聴いていると、友達が車でふらりとやって来た。先日の毎日新聞の記事を持ってきてくれたのだった。お酒をすすめるわけにはいかなかったので、アイスコーヒーをたっぷり飲んでもらい、肩書きの効果とか、空から落ちてくる鳥の糞とか、DJの心得とか、いろんな話を聞かせてもらった。僕がボブ・マーリーのレコードがかけると、その友達は『バーニン』が一番好きだと言った。そして、日付が変わるくらいに帰っていった。
妻は既に床で気持ち良さそうな寝息をたてていた。彼女をベッドに寝かしつけると、僕は小1時間ほどボブ・マーリーの歌を聴いた。夏の夜にひとりで聴くマーリーの歌は、青白い炎のように思えた。闇の中で揺れる道標として行き先を照らしている。そんな気がしたのだった。
MIYAI