週末に「サウサリート」で行われたリクオさんのライヴを観てきた。6月のホール公演から1ヶ月半。今回はリクオさんが最も得意とする(と思われる)酒場でのライヴということもあって、とても親密な空気に満たされた自由で解放感のある内容となった。
ホールでのライヴは、しっかりと組み立てられ、熟慮され、演奏も歌もある程度の枠を守ることで、全体のクォリティを高めていた。たくさんの人達が関わり作り上げたひとつの完成形だったと言えるかもしれない。
酒場でのライヴは、あらゆる面でその逆だ。構成は決まっておらず、その瞬間に生まれる空気に身を任せ、自由に変化していく。どっちにどう転ぶかわからないけれど、お客さんと会話を楽しむようにして、その場を共有し、作り上げていく。
当然、セットリストは決まっているはずもなく、お客さんの反応とか、お店の雰囲気とか、リクオさんがどれくらいお酒を呑むか等に大きく左右されながら、その場の思いつきで曲が演奏されていく。こうしたことをダレることなくできるのが、リクオさんのミュージシャンとしての力量の高さだ。長年身ひとつで酒場を回ってきたタフなメンタリティゆえだろう。
新作『Hobo House』は、本当に素晴らしいアルバムで、僕が今年もっともよく聴いている作品は、おそらくこれだと思う。とにかく曲がいい。シンガーソングライターの作品は、やはり曲の良さが命なのだ。この夜も『Hobo House』からの曲がたくさん演奏された。リクオさんはライヴの冒頭で「あまりこのアルバムからはやらないと思います」と言ってたんだけど、まぁ、結果的にはそうなったみたい。僕は嬉しかった。とりわけ、「Happy Day」や「モンクス・ドリーム」での、お客さんの笑顔、合唱、コール&レスポンスは、忘れ難い。心がかよい合い、生きる喜びと希望に溢れていた。
アンコールはつづき、終わってみれば正味2時間半くらいリクオさんは歌ってくれたことになる。新曲も聴けたし、いろんなカヴァーも聴けたし、懐かしい曲も聴けた。おかげでとても楽しい時間を過ごすことができた。
初めてリクオさんのライヴを観たのも「サウサリート」だった。リクオさんがこの町に引越してきた年の秋の終わりだった。もう6年前になる。あれからいろんなことがあったけど、今もリクオさんがこの町にいて、「サウサリート」でライヴをしてくれることを、僕は嬉しく思っている。また次回も観れますように。楽しみにしてます。
MIYAI