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Sandfish Records Diary

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スクラップ&ビルド

 昨日、調べもので図書館へ出向くも、連休明けだからと臨時の休館日だった。そのまま帰るのもつまらないので、小1時間ほどサイクリングをして帰ることにした。まっすぐ海へ出て、いつもと反対方向へハンドルを切り、鎌倉の大仏の前を通って、ぐるりと回るようなコースで家まで戻ってきた。

 僕は道すがらの風景を観察するようにして走った。学生の頃によく来た場所や、17年前にこっちに移り住むようになってからの町の様子は、一見すると何も変わっていないようで、実際にはかなり変わっていたりする。最近はそんな目で眺めることが多くなった。見知らぬ建物をいくつも見つけたが、かつてその場所になにがあったのかを、僕はほとんど思い出すことができなかった。その都度、人の記憶とはそんなものなのだなと思い知らされ、少し淋しくなるのだ。

 自転車を走らせていると、中華料理屋がちょうど取り壊されているところだった。しばらくすればそこにまた別の建物ができるのかもしれない。スクラップ・アンド・ビルド。数日前に読み始めた小説のタイトルを思い出した。世の中はその繰り返しだ。まだ使えるのに壊して、新しくする。買い替える。建て直す。記憶は薄れていく。もっと暮らしにゆとりがあれば、昔のことを覚えていられるのだろうか?それとも、そういう問題ではないのだろうか?

 30歳くらいの頃、近所のバイク屋が閉店した。還暦を過ぎたであろう夫婦が営んでいる小さな店だった。ある日、シャッターが降りて、閉店の挨拶が貼られているのを見たとき、この人達はどこへ行ってしまったのだろうと思った。店を閉めても人生はつづいていく。新しく仕事を見つけて働かないといけないだろう。そう思ったとき、みんなそれぞれに事情を抱えて生きているのだなと実感した。当時小さなアパートに住んでいた僕も、立派な家に住んでいる家族も、そこは同じなのだなと。

 そんなときにいつも思うのは、まじめに生きてる人達が安心して暮らせる世の中であってほしいということだ。小さな店を閉めずにつづけられるくらいに。ここにその店があることで、救われている人達がいる。そのことだけは間違いないのだ。

 MIYAI
by sandfish2007 | 2015-09-25 07:31 | diary | Comments(0)
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