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Sandfish Records Diary

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ポール記念日

 梅の花が散り、谷戸の河津桜がきれいに咲いている。今朝は冬のような寒さだけど、それもあと少し。ポールの「幸せのノック」を聴きながら、春の訪れを心待ちにするのも悪くないもの。

 26年前、僕の大学受験が終わった日に、ポール・マッカートニーは来日した。そして、都内のライヴハウスで記者会見をしたのが3月2日。「マッチ・ボックス」を演奏した。僕は警備をかいくぐり、会場にもぐりこむことに成功。その一部始終を観ることができた。ポールはステージに登場すると、レスポールを手にし、短いけど挑発的なフレーズを弾いた。それから一言だけMCをはさむと、おもむろに最初のコードをかき鳴らした。その強烈に引き締まった音に、僕は完全にノックアウトされた。今でもありありと思い出すことができる。あの最初のコード。稲妻のようなレスポールのサウンド。ロックン・ロール・ギター。この世のものとは思えないほどの美しさだった。その音は僕という存在を揺らし、今も消えることなく体の中で反響しつづけている。

 それ以来、3月2日は長いこと僕にとっての「ポール記念日」だった。このときの感動を越える感動なんてないと思っていた。でも、その日はちゃんとやってきた。2002年4月26日。マジソン・スクエア・ガーデン。大歓声の中、スクリーンに映し出された巨大なヘフナー・ベースのシルエット。「ハロー・グッドバイ」、「ユー・ネヴァー・ギブ・ミー・ユア・マネー」、「ヒア・トゥデイ」、「サムシング」…。すべてが言葉にならないほど素晴らしかった。それまで生きてきた時間が走馬灯のように心を駆け抜けてゆき、僕は溢れる涙をおさえることができなかった。これまで生きてきてあれほど感動した日はなく、しばらくの間、自分はこの日のために生まれてきたんだとさえ思っていた。
 
 というわけで、今では4月26日が僕の「ポール記念日」になっている。でも、3月2日が特別な日であるのには変わりない。毎年この両日になるとポールのことを考えては、にまにましている。ポールは僕にとっての「幸せのノック」だ。少々乱暴なノックだったかもしれないけど。
by sandfish2007 | 2016-03-02 07:38 | diary | Comments(0)
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