期間限定ポール・マッカートニー日記。あと3日つづきます。
今日は東京ドーム公演2日目。一昨日のライヴが、これまで観てきた中でも有数の内容だったので、今夜も期待できそうである。楽しみだ。
さっき数えてみたら、今日は僕にとって27回目のポールのライヴらしい。そんなに観てるのかと少し驚いた。どれもいい想い出だけど、その中でもナンバーワンと言えるのが、2002年4月26日のマジソン・スクエア・ガーデン。ちょうど15年ほど前のことになる。
これまで生きてきてあれほど心を揺さぶられたことはない。ライヴに限らず、僕がしてきたあらゆる体験の中でもっとも感動的な出来事だった。
数ヶ月前にジョージ・ハリスンが亡くなっていた。ライヴの前には、ジョン・レノンが暮らし、そして撃たれた現場でもあるタコタ・ハウスを初めて訪れた。そうしたことも影響したのかもしれない。でも、実際のところはわからない。
とにかく圧倒的な体験だった。ポールがステージにいる間、僕の中をこれまで過ごしてきた時間が走馬灯のように流れていった。あるいは万華鏡のように渦巻き、僕を呑み込んでいった。僕は時間軸を失い、タイムトラベルのように自分の過去をさまよった。音楽を聴いて泣いたのはあのときが初めてだったと思う。時折、嗚咽をもらす自分に気づいて我に返った。それでも、涙はさめざめと流れつづけた。自分の中でなにかが生まれ変わっていくのを感じていた。
音楽の真の力。その無限の可能性。そして、ビートルズが自分にどれだけのものをもたらしたのか。すべてがあのライヴの中にあった。
写真はそのときに購入したパンフレット。あと、変な帽子を被った32歳の自分。ダコタ・ハウスの前にて。白黒だけど色褪せない想い出。