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Sandfish Records Diary

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ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース@オーチャード・ホール

 昨夜のヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのライヴは、ひょっとすると、今年で一番楽しい夜だったかもしれない。シリアスなことなんてひとつもなかった。全部が楽しかった。

 僕の席は1階の後ろから4列目だったのだが、1曲目から総立ちだった(2階と3階はわからないけど)。ウエスト・コーストからやって来た9人編成のバー・バンドは、たくさんのヒット曲と、3つの新曲と、3つのカヴァーソングを90分間に詰め込んで、最後までお客さんを楽しませた。おかげで、いい汗をかき、憂さも晴れて気分すっきり。これぞバー・バンドの真骨頂である。

 今年も75回のライヴをやってきたというだけあって、バンドの状態は良く、キメるところはビシビシ決めてくる。そのたびに会場のオーチャード・ホールは大騒ぎになるのだが、もしこれを酒場でやったら大騒ぎどころの話じゃないだろう。大受けだ。

 新曲はバンドの歴史が滲むようで、どれも素敵だった。来年には2001年以来のオリジナル・アルバムを出すらしいので、そうしたら買ってしまいそうである。

 カヴァーは、アカペラでボビー・ウーマックの「ルッキング・フォー・ア・ラブ」と、ホーンと太鼓を伴ってのメジャー・ランス「恋はウムウム」。J.J.ジャクソンの「バット・イッツ・オールライト」は、バンド全員での盛大な演奏だった。同じソウルを演奏しても、東海岸と西海岸のバンドでは、こうも解釈が違うものかといつも思う。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの演奏は、とにかく明るかった。

 そして、ヒット曲の威力はやはり凄かった。「ザ・ハート・オブ・ロックンロール」、「イフ・ディス・イズ・イット」、「アイ・ウォント・ア・ニュー・ドラッグ」、「ジェイコブズ・ラダー」、「ヒップ・トゥ・ビー・スクエア」、「ハート&ソウル」、「パワー・オブ・ラヴ」、「スタック・ウィズ・ユー」などなど。イントロが聴こえただけで大歓声だ。

 1流なんだけど超1流というほどじゃない。真面目にやってるんだけど、人間としてのゆるさが抜けない。ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは、気候のいい海沿いの町のバンドらしい雰囲気をずっと持ちつづけている。ライヴの間、僕は嫌なことをすべて忘れて楽しむことができた。たった90分間でも、それはとても貴重な時間だった。

 そして、僕はあんな風になれたらいいなと思ったのだ。41歳で人生を折り返してからずっと悩んでいることの糸口を見つけたような気分だった。今の時代にシリアスにならずにいられること。そんな心の佇まいを身につけたいと思った。

 開演前のBGMがスタックスやモータウンの有名なヒット曲だったの対し、終演後に流れてきたのはライアン・アダムスだった。彼らは全部承知の上なのだと思った。ひりひりとしたライアンの歌声と、陽気なヒューイ・ルイスの歌声は、違うようでいて同じなのかもしれない。

 帰りの電車の中、僕はずっと幸せな気持ちだった。楽しかったことは忘れるのが早い。だから、この気持ちも少ししたらきれいに消えてしまうのかもしれない。でも、そうしたらまた別の楽しさを見つければいい。そんな風に思えるのは、やはり幸せなことなのだろう。
 
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by sandfish2007 | 2017-11-21 07:16 | diary | Comments(0)
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