昨夜、バーで久しぶりに会った友人が、この夏ニューヨークへ転勤するという。ブルース・スプリングスティーンが昨年秋から今年の年末まで週5日でライブをしているあのニューヨークへだ。実にうらやましい。
しかし、彼にとっては楽しいことばかりではないようだった。なんでも家族と離れるのが淋しいのだという。単身赴任かと思いきや、「違いますよ。まず僕が先に行って、生活の準備を整えたら呼ぶ予定です。だからひとりなのは3ヶ月程度かな」とのこと。それくらいならいいじゃないかと思うのだが、そうでもないらしい。
「僕は家族がいないと、自分が精神的に不安定になるのがわかるんです」、「家に帰って妻が笑ってくれるだけでいいんです。隣りに座ってくれるだけでいいんです」、「ニューヨークは車がなくても暮らせるから、それだけはよかったなと思います。妻が凍結した道路を運転するなんて、想像するだけでもう…」、「昨日はRCサクセションの「指輪をはめたい」を聴いちゃいました」などなど。
これだけ並べられると、かえって微笑ましい。友人は幸せだ(おそらく彼の家族も)。ちなみに、「指輪をはめたい」は「はめたい」がダブルミーニングになっている熱烈なソウル・ナンバー。そういえば、友人はかつてソウル・バンドをやっていたことがあった。
なんであれ、ニューヨークとはうらやましい限りだ。