珍しくヒップホップを聴いている。2パック『ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』は、僕が持っている数少ないヒップポップのアルバムだ。
僕が20代の頃、アメリカのヒットチャートはヒップホップやR&Bのアーティストで埋め尽くされていた気がする。その中心にいたのが僕と同じ世代のラッパー達だった。日本の学年で言うと、2パックは僕の2つ下、ノトーリアス・B.I.G.は3つ下、パフ・ダディやジェイ・Zは同い年だ。
彼らの音楽は僕の趣味とは言えなかったし、悪そうなルックスや、ほとんど犯罪者と呼べそうな経歴や、過激な言動にも、親近感をもてなかった。でも、同世代なのかと思うと、彼らのやっていることがなんとなく気にもなった。ちなみに、ジェニファー・ロペスやマライア・キャリーとも同い年だ。ベックはひとつ下。
育つ環境によって人生は大きく変わる。2パックを聴いていると、改めてそう思う。このアルバムがリリースされた翌年、2パックは横付けされた車から銃撃され死亡する。26歳だった。翌年にはノトーリアス・B.I.G.もパーティー帰りに銃撃され、24歳でこの世を去っている。人によっては音楽をやるのも命がけということか。
『ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』は、裏ジャケに収録曲がAとBに分けて記載されている。アナログ・レコードのA面とB面みたいに。僕はメロウな曲が比較的多いBサイドの方が好きで、そちらばかりを聴いていた。全部聴くには長過ぎるから、こうして分けてもらえると聴きやすくて助かる。
あれから20年以上がたったのか。でも、2パックは今も26歳のまま。なんだか信じられない。