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Sandfish Records Diary

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2018年 02月 15日 ( 1 )

スコット・ボイヤーに捧ぐ

 スコット・ボイヤーが亡くなった。70歳だったという。彼の名前を知っているのは、アメリカ南部のロックにある程度興味を持っている人だけかもしれない。でも、いいギタリストであり、いいソングライターであり、音楽と深く関わって生きていく上で手本となるような人だったと、僕は思っている。

 スコットの曲を初めて聴いたのは、ご多分に漏れず、エリック・クラプトンがカヴァーした美しい曲「プリーズ・ビー・ウィズ・ミー」だった。アルバムの中でも特に好きな曲のひとつだったが、このときは作者まで気にしなかった。それはグレッグ・オールマンがカヴァーした「オール・マイ・フレンズ」を聴いたときも同じだった。

 スコットの名前を意識したのは、横浜にあるロック・バー「ラスト・ワルツ」で、彼とトミー・タルトンが結成したバンド=カウボーイのレコードを聴いたときだった。素晴らしかった。すぐに当時よく通っていた茅ヶ崎のロック・バー「フロッギーズ」のマスターにその話をすると、別のアルバムをかけてくれた。これも素晴らしかった。ほどなくして、中古レコード屋でカウボーイのレコードを見つけ、迷わず購入したのだった。

 それから何年かして、僕は結婚することになった。海の近くに手頃な家賃の部屋を借り、そこで妻と新しい生活を始めることした。引越当日、近所の友人が手伝いに来てくれた。すべての荷物を運び込み、どうにか暮らせるくらいの状態にしたところで、友人がレコードを聴こうと言ってきた。新しい生活を始めるにあたり最初に聴く曲は重要だと。

 僕はこの部屋で最初にかけるのはトム・ペティの「フリー・フォーリン」と決めていた。しかし、とある事情があって引越前日に聴いたばかりだった。だから迷ってしまい、まずは友人に好きな曲をかけてもらうことにした。友人が選んだのは、カウボーイの「プリーズ・ビー・ウィズ・ミー」だった。

 荷物が運び込まれたばかりの新居で、友人と妻と3人でスコット・ボイヤーが歌う「プリーズ・ビー・ウィズ・ミー」を聴いたことを、おそらく僕はこれからも忘れることはないだろう。あのときの空気や、胸に去来した思いとともに、残り続けるはずだ。

 エリック・クラプトンのアルバムも、グレッグ・オールマンのアルバムも、おそらくずっと聴き続けると思う。そして、そこにはいつだってスコット・ボイヤーがいるのだ。音楽とは、人の一生とは、なんと奥深いものなのだろう。

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by sandfish2007 | 2018-02-15 00:09 | diary | Comments(0)